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更新日:2025 / 06 / 13
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蘇武 則之氏 インタビュー

どのような業種のお客様が多いのですか?

開業当初は、不動産関係が多かったのですが、ここ最近は情報処理関連企業、特にIT関係の人材派遣会社が増えてきています。

不動産会社と人材派遣会社とでは違いはありますか?

やはり派遣社員が絡んでくる場合は、非正規雇用者を扱っている関係で、もめ事が多いですね。社労士の活躍の場が多すぎるぐらいあると言っても良いと思います。顧問先に出向く頻度も非常に高いです。行く頻度が低い顧問先は月1〜2回程度ですが、もめ事の多い会社になると毎日行っても足りないぐらいです。

お付き合いのきっかけが社員の入退社の手続代行であっても、あまりにも手続きが増えてしまってきた場合には、その手続きは会社の方にお願いして、私は本業の部分である「会社と非正規雇用者の方がもめてしまった場合のアドバイス・そうならないためのアドバイス」に専念させていただくようにしています。その方が会社さんにとっても良いですからね。

今は、労務相談を中心になさっているのですか?

はい。それも一般的に言われる精神的な病についての相談はもちろん、普通では経験できないような労務相談が多いですね。先日、ある企業からの相談で、「派遣社員から『派遣先で“自分は××系”だと告白してしまった。それから周りの目も変わり、職場の雰囲気や環境が悪くなったのでもうその現場に行きたくない。だから休業補償をくれないか』と言われて困っている」ということがありました。そういうユニークな相談が偶然にも2件続きました。まず、私は「お金は払うな」とアドバイスしました。

何事でもそうですが、法律的なことを言う前に、「一般常識レベルの事がしっかりできているのか?」「それは常識的に考えてどうなのか?」を見極め、それで駄目なら最後は法律論なのです。「そもそもあなたが行きづらくなった原因は会社にあるのかあなたにあるのか、仕事は一生懸命やっているようだが、芸能人とは違うのだから世間があなたを見る目は違ってきて当然でしょう」と話してあげたらどうですか、とアドバイスしました。他にも、代理人が登場してきた“同性間での”セクハラ問題など、他の社労士さんではなかなか経験できない場面に遭遇しています。 ですから、あらゆるケースに対応できるのが私の強みだと自負しております。

通常の業務だけでなく、積極的にセミナーを行っているとのことですね?

顧問先の社内向けのものと、社外セミナーと両方行っています。一般的な社外セミナーについては、頼まれた時にお受けするというスタンスです。特に社内セミナーで力を入れているのが、トラブルが多い企業に対して行う「最低限知っておかなければならない知識」についてのお話しです。労働保険や社会保険、労働基準法についての内容ですが、これは総務担当者から部長クラスに至るまで集めて行うようにしています。

労働基準法の解雇の部分では、「相当な理由がないと解雇はできないと思っていて下さい」と説明するのですが、最近は皆さんの関心が高いようで、「こういう場合は解雇できるのか?」といった質問が頻繁に出てきますね。 私は、顧問契約をする際には必ず「社内セミナーも行います」と契約書に入れています。社員の方に知っておいていただきたい事項をお話しするものですから、もちろん別料金はいただいておりません。

変わったセミナーもされていると伺いましたが?

私は社労士になる前に管理会社にいましたので、当時の経験を生かしたセミナーを行っています。主に清掃関係の話ですが、宮崎県では「・・・・・」をテーマに行いました。農家民宿は商売として考えると、半分農家で半分民宿ですからどうしてもお客さんが泊まる部分に家族の洗濯物が干してあるなど、民宿としての心配りが十分行き届いていません。「商売にする場所はきれいにして、お客をキチンと呼べるようにしておくべきですよ」という内容でお話しをしました。

普通は社労士が取り上げないテーマですね。その時も私の本業は社労士だと説明をした上で、自分の経験を元に「プロのハウスクリーニング屋はどんなところに気を付けて掃除しているか」についてお話しをし、民宿での清掃ポイントとともにお客様に喜んでもらう術をお伝えしました。

「クレームの出ない就業規則づくり」も専門分野の1つだそうですね?

「クレームの出ない」とは、一言で言えば、「相手にも考えさせる」ということです。今までの就業規則は、

おそらく大部分は社労士が自分で最後まで作り、「これは法改正に対応してあります。間違っていないか確認して下さい。間違っていなければ納品です。」というものが多かったと思います。すると事業主や総務担当者にとって「この点は何とかならないだろうか…」という欲求不満な部分が必ず出てきます。ですから私の場合は、直ぐに納品しません。打ち合わせの際に、まず私が通り一遍のものを用意して担当者に渡し、次回の打ち合わせの日時を決めて、そのまま帰ります。次の打ち合わせでは、社内で揉んでいただいた結果を踏まえて「冒頭は会社の経営理念などを入れても良いのですよ。こういうところは自由に変えられますよ。他に入れたい事項はありますか?」といったヒアリングやアドバイスを行います。そのような打ち合わせを最低3回はやります。そうすると会社の考えがおおよそ就業規則の中に入りますから、納品してもクレームは出ません。もちろん、その間、入れてはまずい部分については伝えておきます。他に、服務規程など会社がある程度裁量をもってやれる部分については入れていただきます。

また「今の就業規則では時代の流れから見て、セクハラやパワハラなどに関する部分はもちろん、酒席に関する事にも触れておいたほうがいい。ここはリニューアルしないと…」等との提案もさせていただきます。 就業規則の作成に当たっては、「規程は厳しく、運用はやさしく」が私のキーワードです。

最後に趣味についてお聞かせください。

コーヒーが好きで、自宅でコーヒー豆を焙煎しています。実は若い頃、貸しビルや喫茶店を経営している会社に勤めていた時分に、物販や喫茶店のマネージャー職をしたことがありました。その時に店を差別化するにはどうしたらいいかを考え、究極的に店でコーヒー豆を焙煎することにしました。以前通っていた店の経営者にノウハウを教えてもらい徹底的に覚えました。おいしいコーヒーを飲むと本当に感動しますね。私の飲んでいるコーヒーの中では、コロンビアのエメラルドマウンテンが最高だと思っています。

インタビューを受けた社会保険労務士

蘇武 則之

東京都

社会保険労務士法人ベストアビリティ
当事務所では、単なる手続き代行にとどまらず、お客様の経営課題に寄り添いながら、タイムリーかつ的確なサポートを行っています。法改正や制度変更が頻繁な中でも、お客様が安心して本業に専念できるよう、迅速かつ柔軟な対応を心がけています。
これまで変わった業務としては、飲食店を経営する事業主の方には、一緒に食器の購入につきあったり、メニューを考えたりしました。実際にお店で採用されたメニューもあります。
また、管理会社での経験から、ある財団法人から民宿経営者に対し、「民宿における清掃」のタイトルでセミナーを開催したこともあります。
「社労士業務」にこだわらず、今までの経験とお客様の立場にたって、どうすれば会社が繁栄するかに重点をおき活動しております。
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