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更新日:2025 / 07 / 11
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竹中 幹夫氏 インタビュー

御社の現在の組織体制と提供されているサービス範囲についてお聞かせいただけますでしょうか?

現在の組織体制は、支援体制の強化を目指して変革の途上にあります。以前は「一人一社担当制」でしたが、これは担当者とお客様との距離が縮まる反面、業務の属人化が進み、業務のノウハウが事務所全体に蓄積されにくいという課題がありました。

そこで、コロナ禍が始まる少し前から「チーム制」への移行を進めています。具体的には、手続き業務を専門チームに集約し、コンサルタントはお客様への労務管理の改善提案や給与制度の運用支援などに特化する体制を取っています。

また、事務所の規模が大きくなってきたため、各チームのリーダーがメンバーのマネジメントを行い、定期的なミーティングを通じて連携を深め、組織的な運営を進めています。

提供しているサービスは多岐にわたり、社会保険・労働保険の手続き代行、給与計算、就業規則の作成・見直し、人事制度の構築などが主な柱となっています。

組織体制の変革を通じて、事務所の強みや対応できる規模感はどのように変化しましたか?

チーム制の導入により、手続き業務や給与計算の「正確性」と「迅速性」が向上しました。これは、メンバーが専属して、徹底したダブルチェック体制を構築していることによって実現できたものです。

また、コンサルタントが労務管理の改善提案や給与制度の運用支援などに、より踏み込んで対応することで、お客様企業に内在する問題を解決できるようになったことも強みだと感じています。

弊所の得意とするお客様企業の規模感としては、手続き業務では約300名規模まで、給与計算では約100名規模までと考えています。労務相談では、2,000名規模の大企業様からのお問い合わせもいただいています。

現在、AIの活用や業務のデジタル化(DX)と事業環境も変わってきておりますので、これからも効率化を行いながら、対応力を高めていきたいと思います。

ホームページで従業員の皆さんが生き生きと働ける環境作りの取り組みを行っていると拝見しました。その取り組みがお客様への提案に繋がった事例はありますか?

従業員満足度向上のために、社内コミュニケーションを重視しています。社員旅行や食事会などのイベントのほか、ユニークな取り組みとしては、「ありがとうポイント」制度を導入しています。これは福利厚生会社のシステムを活用し、従業員同士が感謝の気持ちを伝えつつ、ポイントを贈る仕組みです。

この社内制度は、お客様への提案にも活かされています。「ありがとうポイント」は、社内の風通しが良くないと感じているお客様に対して、組織活性化のための具体的な提案として喜んでいただけました。

また、当事務所が積極的に取り入れている在宅勤務制度は、採用に課題を抱えるお客様への具体的な解決策として提案し、実際に採用成功に繋がった事例もあります。在宅勤務は、居住地にとらわれずに全国から優秀な人材を確保できるだけでなく、求職者にとっても魅力的な条件となるため、非常に有効な手段だと考えています。

お客様への新しい提案を生み出すための、社内での取り組みはありますか?

当事務所では月に一度の社内勉強会を実施しています。ここでは、実際の企業事例を題材にディスカッションを行い、「もし自分たちがその企業の担当者だったらどうするか」「お客様に提案できる新しいサービスは何か」といったことを議論しています。

たとえば、「就業規則の新しいあり方」について、話したこともあります。法律を満たすだけの就業規則は、形式的で堅く、社員にとってはなかなか身近に感じられないのが現実です。でも本来、就業規則は会社の価値観や働き方への想いを伝える、大事なコミュニケーションツールだと思っています。

そこで、たとえば絵本や漫画、動画など、表現の幅を広げて、社員が自然と手に取りたくなるような就業規則を目指せないかという話が挙がりました。制作の過程にはお客様にも関わっていただき、一緒に作り上げていくことで、型にはまったものでない、その会社らしい就業規則になるはずです。

突飛な話かもしれませんが、AIが進化して、法律知識だけなら簡単に引き出せる時代になっています。だからこそ、私たち人間にしかできない「寄り添うサポート」を形にしていきたい。そのような想いを事務所内でも共有していくことで、自然とサービス全体の質も高まり、お客様にとって本当に価値のある提案ができるようになると信じています。

最近、事務所として新たに取り組んでいることや、対応の幅を広げている分野があれば教えてください。

顧問先からのご要望に応える形で、最近ではIPO(新規株式公開)支援にも対応できる体制づくりを進めています。IPO関連の資格を取得する職員も育ってきており、準備が整ってきているところです。お客様からお声がけいただいた以上、「できません」と断るのではなく、「できることから一歩ずつ取り組む」―それが当事務所の基本姿勢です。

こうした姿勢は、業務で使用するツールにも表れています。お客様が使っているクラウドツール(Freee、マネーフォワード、SmartHRなど)に積極的に対応することで、業務効率化やコスト削減を支援しつつ、スムーズな連携を図っています。コミュニケーションツールもSlackやChatworkなど、柔軟に対応しています。

また、AIの活用についても、当事務所で積極的に取り入れて知識を深めることで、お客様企業に活用していただくための提案力の強化に努めています。

御社は情報発信にも力を入れていらっしゃると伺いました。どのような媒体で発信されていますか?

情報発信は非常に重要な取り組みだと考えており、様々な媒体を活用しています。主なものとしては、メルマガ、YouTube、事務所ニュース、ウェブサイトのブログです。

特にYouTubeには力を入れており、これまでは専門のチームが動画制作を行っていましたが、回数を増やしていくために、事務所全体で動画制作に取り組んでいく方針になってきました。以前には、有名なYouTuberの方にお声掛けいただき、コラボレーションを行ったことがあります。

※↓その際の報告動画になります。
ご報告『ラファエルさんとコラボしました!』

また、事務所のスタッフが興味がある事や気になった事を発信するブログもウェブサイトで公開しています。

YouTubeなどでの情報発信から、どのような反響がありましたか?

YouTubeからの反響としては、全国各地の企業様から「動画を社内教育で使いたい」というお問い合わせが多数寄せられています。特に、中小企業よりも大企業からの問い合わせが多いことに気づき、従業員規模が大きいほど、継続的な教育や組織全体での意識づけの難しさといった課題を抱えていることが伝わってきました。

こうした声に応えるかたちで、当事務所の強みであるハラスメント防止対策に特化したグループ会社として「ZEROハラスメント株式会社」を設立しています。既存の社会保険労務士法人の枠を超え、専門性をさらに高めることで、実効性のある支援を通じた社会貢献を目指しています。

新法人の目的は複数あります。一つは、ハラスメント防止対策の専門性を明確に打ち出し、信頼性を高めること。もう一つは、社労士法人という枠組みでは難しいサービスなども視野に入れた新たな事業展開を可能にすることです。ハラスメント防止対策を別法人として特化することで、より強い専門性を打ち出し、社労士法人との相乗効果も期待しています。ハラスメント防止対策は一過性のものではなく、継続的に取り組むべき重要な課題です。私たちは、こうした社会的なニーズに誠実に向き合い、現場に根ざした仕組みづくりをこれからも追求していきたいと考えています。

事務所の今後の発展について、どのようなビジョンをお持ちでしょうか?

当事務所のビジョンは、「社会保険労務士をベースとし、社会保険労務士の枠を超え、お客様企業を生き生きと働ける職場にして、生産性を高める事務所を目指します」です。これを達成するには、当事務所のスタッフの教育体制を強化し、お客様へ質の高い、充実したサービスを提供できるスタッフを育成することが重要です。

具体的なサービス強化としては、会社の社風を活かしつつ、社員への想いが伝わる就業規則づくりに力を入れています。さらに、社員の成長するスピードを早める人事評価制度を提案し、また、職場のハラスメントを防止することにより「生き生きと働ける職場」を実現することにも力を入れています。

こうした多角的なアプローチを通じて、お客様の組織がより前向きに、持続的に成長していけるようサポートしていきたいと考えています。

最後に、ご自身の趣味についてお聞かせいただけますでしょうか?

はい。最近の趣味は、家族との旅行、特にキャンプに行くことです。日頃、都会で仕事をしていると、休日は自然豊かな場所でリフレッシュしたいという気持ちが強くなります。

キャンプと仕事には、意外な共通点があると感じています。例えば、事前に何を持っていくか、キャンプ中に何をするかを計画し、それを実行していく過程は、社会保険労務士の仕事における課題解決やプロジェクト推進と通じるものがあります。また、テント設営や焚き火など、家族で共同作業をすることが多いため、家族とのコミュニケーションツールとしても機能しています。

キャンプ自体はコロナ禍の少し前から始めたのですが、今では子供たちも「行きたい」と言ってくれるので、楽しみが伝わっているのかなと感じます。以前には、事務所のメンバーで「ビジョンを語るキャンプ」を実施したこともあり、焚き火を囲んで語り合うのは非常に良い経験となりました。

インタビューを受けた社会保険労務士

竹中 幹夫

東京都

ソラーレ社会保険労務士法人
近年、ビジネス環境は急速に変化しており、多くの企業が生産性の向上とコスト削減の両立に取り組む必要性に迫られています。
また、働き方改革やリモートワークの拡大に加え、頻繁な労働関係法改正による労務管理の複雑化も進んでいます。
貴社の労務管理業務の正確さを高め、ご担当者様の負荷を軽減し、将来に向かってさらに効率化するお手伝いをさせて頂きたいと思っております。
ソラーレ報酬額表による明朗会計です。
お気軽にご相談ください。
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