
桑原 護氏 インタビュー
事務所のご紹介をお願いします。
『社会保険労務士法人 行政書士 桑原事務所』は昭和58年3月に開業いたしました。事務所名にもある通り、行政書士の業務も対応しておりますので、社会保険・労働保険の手続き業務のほか、各許認可申請の手続き業務など、幅広く経営者様のご要望にお応えしています。
また、事務所の特徴といたしまして、就業規則の改定や労務相談、長時間労働対策、それから労働災害の安全対策や、労災請求などの対応も多数の実績がございます。
全ての始まりとなる起業手続きから、人の入・退職手続き、そして人事・労務に関わるご相談にワンストップの対応が可能な事務所として、皆様からご愛顧をいただいています。
最近ではどのようなご相談が多いですか。
「長時間労働を削減したい」といった内容のご相談が増えています。国の取り組みにおいても、長時間労働の削減を明確に打ち出していますので、事業所としても何かしらの対応を求められています。ただ、経営者様も「それは理解しているが、どこから着手すればよいかわからない」とお悩みの方が多く、弊所にご相談をいただいています。
弊所では、経営者様と1対1でじっくりと相談の時間を設け、まずは会社の実情を把握させていただきます。そこから、長時間労働の原因は何なのか、どうすれば削減に向って動き出せるのかをアドバイスいたします。組織の中にいると、これまでの働き方が「当たり前」になってしまい、意外と些細な改善点にも気づけないものです。
このようなお悩みをお持ちの経営者様がいらっしゃいましたら、「まずは専門家である桑原事務所までお気軽にご相談ください」とお伝えしています。
豊富な経験と実績をお持ちの桑原先生ですが、社労士を目指されたきっかけを教えていただけますか。
先輩に勧められたのがきっかけですね。「社会保険労務士という資格が法制度化される。将来的に非常に大切な仕事になるからやってみたらどうだ。」とご紹介をいただき目指し始めました。それまではこの業界のことなど全く知らなかったのですが、実際に飛び込んでみると、仕事の内容は多岐にわたることを知り、今後の業務の可能性を感じることができました。そして、14年間社労士事務所に勤務し、先程お伝えした通り、昭和58年に独立開業しました。
開業当時はいかがでしたか。
14年間の実務経験や、経営者様との繋がり、税理士の先生方とのご縁などもありましたので、ゼロからのスタートという感覚はありませんでしたが、当時は社会保険労務士という名称が全く浸透していなかったので、「その資格は何をやる仕事なのか」という世間の疑問や、「生命保険や損害保険会社の代理じゃないのか」というイメージが、かなり強かったですね。当時と比べると、今は社労士の立ち位置が格段に上がってきたと思います。
先日報道された行政の方針では、時間外労働に対する調査を社労士に委託するという内容が打ち出されており、また、今話題となっている『健康経営』においても、事業を推進する『健康経営アドバイザー』の資格取得対象として、社労士や中小企業診断士が、主たる専門家として取り上げられています。
政府が推進している『働き方改革』には、人事労務の専門家である社労士の業務領域も大きく関与しています。その点においても、これから社労士が活躍できる分野がさらに広がっていくことが予想され、また、社労士自身もそれに対応し得る力が求められていくでしょう。
社労士も手続き業務だけではなく「改善提案の力」が必要なのですね。
特に、今一番の問題として捉えているのは、先の長時間労働にも起因している「労働力不足」の問題です。特に運送業や建築業では、この問題が既に表面化してしまっています。それを補うために、どのような働き方を創出すればよいか、どうすれば潜在的な労働力を掘り起こせるのか、経営者様にとって何がベストなのか、日々研究しています。
例えば運送業では、主婦や年配者の空いている時間と地域のネットワークを上手く活用し、物流を展開している企業が既にあります。それらの事例を踏まえつつ、一般の企業においても、フルタイム正社員の雇用形態だけではなく、限られた時間しか働けない潜在的な労働力を上手く活用できる「多様な働き方」の創出が、今後求められていくことになります。
高齢者の雇用活用事例も、よくニュースで取り上げられていますね。
貴重な経験を積んでこられた年配の方々が、定年または再雇用という枠で一つ区切られてしまい、「もっと働きたいが、なかなか働ける環境がない」という方も結構いらっしゃいます。
折角の磨き上げられた技術と経験ですので、元気なうちは皆さんが働けるような仕組みづくりを構築し、経営者様と従業員の方々それぞれにメリットを提供できればと考えております。
お仕事をされる上での信念や理念はございますか。
「信頼される事務所でありたい、士業でありたい」やはりそれが一番です。社労士は人事労務の専門家ですが、法を読み解くだけの、その場限りのアドバイスしかできなければ、存在価値に疑問が出てきてしまいます。今の時代、法律を調べるだけならインターネットで簡単に判ります。法律や行政の方針には従わなければなりませんが、先程お話ししたように「わかっていてもなかなか現場に落とし込むことができない」というのが中小企業の実情です。そのようなお悩みを抱えている経営者様に対し、法律の趣旨は曲げずに、「どのように具体化させていけばよいか」をアドバイスできてこそ、社労士の仕事であり、存在意義であると言えます。
この想いを常に念頭に置いて、事業主様に寄り添いつつ、信頼関係を築いていければと考えております。
ありがとうございました。最後にご趣味についてお伺いします。
趣味は旅行と将棋です。旅行は事務所の職員一同で2年に1回、海外旅行を実施しています。もう東南アジア方面は大体周りました。30周年記念にはハワイ旅行へ行きました。将棋は個人的な趣味ですが、休みの日には近隣の福祉会館などで、同じ将棋好きの方々と指しています。手筋や局面の流れを見ていると、自然と頭の中も整理されるので、良いメリハリができています。