【令和8年度(2026年度)】雇用保険料率はいくら?会社負担・労働者負担を解説
雇用保険料率は事業の種類に応じて複数の区分(一般の事業など)に分かれており、給与や賞与の支給額に料率を掛けて企業と労働者がそれぞれ負担します。
令和8年度(2026年度)の一般の事業では13.5/1,000(労働者負担5/1,000、事業主負担8.5/1,000)です。料率は毎年変更されるとは限りませんが、雇用情勢などに応じて見直されるため、毎年度の確認が必要です。
本記事では、令和8年度(2026年度)の雇用保険料率について、事業の種類別の料率一覧、保険料の具体的な計算方法、給与計算の注意点、年度更新の手続きの流れをわかりやすく解説します。
自社に適用される料率を正しく理解し、適切な給与計算にお役立てください。
※本記事は令和8年(2026年)4月時点の情報に基づいています。
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雇用保険料率とは?企業と労働者が負担する保険料の仕組み

雇用保険料率とは、雇用保険料を計算するために用いる割合のことです。雇用保険料は、企業が労働者に支払う賃金を基準に算出され、企業と労働者がそれぞれ一定割合を負担します。
雇用保険は、労働者が失業した場合の生活を支えるほか、育児休業や介護休業の給付、職業能力の向上を支援する制度など、幅広い目的で活用されている制度です。雇用保険料率は、これらの給付を支えるための財源として設定されています。
企業が適切に保険料を計算・納付するためには、最新の雇用保険料率や負担割合を正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、雇用保険制度の基本と雇用保険料率の仕組みについて解説します。
雇用保険とは
雇用保険とは、労働者が失業した場合や、育児・介護などで働くことが難しくなった場合に、生活や再就職を支援するための給付を行う制度です。
主な給付には、以下のものがあります。
- 失業した際に支給される「基本手当(いわゆる失業手当)」
- 育児休業中に支給される「育児休業給付」
- 介護休業中に支給される「介護休業給付」
- 再就職を支援する「就職促進給付」
- 能力開発やキャリア形成を支援する「教育訓練給付金」
雇用保険は、原則として労働者を1人でも雇用する事業に適用され、一定の要件を満たす労働者が被保険者となります。
雇用保険制度は見直しが進んでおり、2028年(令和10年)10月1日には適用範囲の拡大も予定されています。被保険者の範囲が広がり、保険料負担や実務に影響が生じる可能性があるため、制度改正の内容もあわせて把握しておきましょう。
関連記事:【最新情報!】2028年10月1日施行。雇用保険が「週10時間」以上に適用拡大!企業への影響と求められる対策とは
雇用保険料は企業と労働者が負担する
雇用保険料は、企業と労働者が一定割合を負担する仕組みです。これは、労災保険が企業のみの負担である点と比べて大きな違いです。
企業は、労働者に支払う賃金をもとに雇用保険料を計算し、労働者負担分を給与から控除するとともに、事業主負担分を合わせて国へ納付します。
雇用保険料率は事業の種類ごとに異なる
雇用保険料率は事業の種類に応じて、以下の3つの事業区分が設けられています。
- 一般の事業
- 農林水産・清酒製造の事業
- 建設の事業
これは、事業によって性質や雇用の状況が異なるためです。雇用保険制度では給付と負担の均衡を図る観点から、それぞれの区分ごとに料率が定められています。
具体的な雇用保険料率については、次章で詳しく解説します。
【令和8年度(2026年度)】雇用保険料率

雇用保険料率は、事業の種類ごとに定められており、企業と労働者がそれぞれ一定割合を負担します。
令和8年度(2026年度)の雇用保険料率は以下のとおりです(適用期間:2026年4月1日~2027年3月31日)。
【令和8年度(2026年度)雇用保険料率】
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5/1,000 | 8.5/1,000 | 13.5/1,000 |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 15.5/1,000 |
| 建設の事業 | 6/1,000 | 10.5/1,000 | 16.5/1,000 |
なお、事業主負担は「失業等給付等」と、雇用の安定や労働者の能力開発を支援するための「雇用保険二事業」に分かれています。
それぞれの割合は以下のとおりです。
【令和8年度(2026年度)雇用保険料率 事業主負担の内訳】
| 事業の種類 | 失業等給付等 | 雇用保険二事業 | 合計 (事業主負担) |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5/1,000 | 3.5/1,000 | 8.5/1,000 |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 6/1,000 | 3.5/1,000 | 9.5/1,000 |
| 建設の事業 | 6/1,000 | 4.5/1,000 | 10.5/1,000 |
参考:厚生労働省|令和8(2026)年度雇用保険料率のご案内
このように、事業の種類によって雇用保険料率が異なります。正確な雇用保険料を申告・納付するためには、自社に該当する区分を正しく把握しておきましょう。
雇用保険料率の3つの事業区分とは

雇用保険料率は、「一般の事業」「農林水産・清酒製造の事業」「建設の事業」の3つの事業区分に分けて設定されています。このうち、「農林水産・清酒製造の事業」と「建設の事業」は「特掲事業」と言います。
ここでは、それぞれの区分に該当する事業を解説します。
「一般の事業」に該当する主な事業
一般の事業とは、農林水産・清酒製造の事業と建設の事業に該当しない事業を指します。製造業や小売業、サービス業など、一般的な企業活動の多くがこの区分に含まれます。
一般の事業の例は以下のとおりです。
- 製造業
- 卸売業・小売業
- 飲食業
- 情報サービス業
- 医療・福祉
- 各種サービス業など
なお、農林水産業に関連する事業であっても、園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖などの事業については、一般の事業の雇用保険料率が適用されます。
「農林水産・清酒製造の事業」に該当する主な事業
農林水産・清酒製造の事業には、農業、林業、漁業などの一次産業や清酒製造業が含まれます。
これらは、季節的な作業や収穫期に応じた雇用など、短期的な雇用形態が多い傾向がある事業です。そのため、雇用の変動を踏まえ、雇用保険制度では1つの区分としてまとめられ、一般の事業とは異なる料率が設定されています。
「建設の事業」に該当する主な事業
建設の事業には、建物や土木構造物の建設工事を行う事業が含まれます。
建設の事業では、工事ごとに労働者を雇用するケースが多く、雇用の変動が大きい点が特徴です。また、国による建設労働者の雇用の安定や能力開発を目的とした事業も実施されており、それに伴う費用も生じます。
そのため、雇用保険制度では建設の事業を独立した事業区分として扱い、3つの事業区分の中で最も高い事業主負担率が設定されています。
雇用保険料率を用いた計算方法と計算例

雇用保険料は、労働者に支払う給与や賞与などの賃金に、雇用保険料率を掛けて算出します。
雇用保険料の計算式は、以下のとおりです。
雇用保険料の計算式
- 雇用保険料=労働者負担分+事業主負担分
・労働者負担分:賃金(支給額)×労働者負担料率
・事業主負担分:賃金(支給額)×事業主負担料率
実務では、労働者負担分と事業主負担分を計算し、労働者負担分を給与から控除したうえで、年に一度の年度更新と呼ばれる方法で事業主負担分とあわせて納付します。
労働者からの雇用保険料徴収は賃金支給の度に行いますが、納付は年に一度決められた時期におこなうという点は、社会保険料と異なる点です。
賃金(支給額)に含まれるもの
雇用保険料は、給与や賞与の支給時点における賃金(支給額)を基準に計算します。
なお、対象となる賃金の範囲は、労災保険と同様に労働の対償として支払われるものが基本です。
具体的な対象は以下のとおりです。
- 基本給
- 時間外手当(残業代)
- 通勤手当
- 各種手当(役職手当、資格手当など)
- 賞与
ただし、役員報酬や退職金、見舞金など、労働の対償として支払われないものは、原則として含まれません。
また、給与として一括で支給している場合でも、その内訳に対象外となる支給が含まれていることがあります。支給項目ごとの性質を確認し、対象・対象外を見極めましょう。
関連記事:【労働保険の担当者必見!】賃金総額とは?含まれるもの・含まれないもの一覧と計算方法を徹底解説
雇用保険料の端数処理
雇用保険料のうち、労働者が負担する被保険者負担分については、計算結果に1円未満の端数が生じた場合の取扱いが労働保険徴収法によって定められています。
給与から源泉控除する場合、端数が50銭以下のときは切り捨て、50銭1厘以上のときは切り上げて1円とします。一般的な四捨五入とは異なり、50銭ちょうどの場合は切り捨てとなる点に注意が必要です。
また、実務上は給与計算ソフトの設定などにより端数処理が行われるケースが多いため、設定内容を一度見直しておくと安心です。
雇用保険料の計算例
事業区分ごとの具体的な計算例は以下のとおりです。
計算例|月額賃金30万円の場合
- 一般の事業
労働者負担:300,000円×5/1,000=1,500円
事業主負担:300,000円×8.5/1,000=2,550円
合計:4,050円 - 農林水産・清酒製造の事業
労働者負担:300,000円×6/1,000=1,800円
事業主負担:300,000円×9.5/1,000=2,850円
合計:4,650円 - 建設の事業
労働者負担:300,000円×6/1,000=1,800円
事業主負担:300,000円×10.5/1,000=3,150円
合計:4,950円
このように、同じ賃金額であっても、事業区分によって雇用保険料の金額は異なります。自社に適用される料率を確認し、誤りのない給与計算を行いましょう。
雇用保険料の申告・納付の方法|年度更新

雇用保険料の申告・納付は、労災保険料とあわせて「労働保険料」として、毎年「年度更新」により行います。
ここでは、労働保険料の申告・納付に関わる年度更新の仕組みを解説します。
年度更新とは
年度更新とは、前年度に支払った賃金をもとに労働保険料を確定・精算するとともに、当年度の見込み額を算出して申告・納付する手続きです。
年度更新の手続きは原則として毎年6月1日から7月10日までの期間に行い、企業は次の2つの保険料をあわせて申告・納付します。
- 前年度の保険料を確定させて精算する「確定保険料」
- 当年度の保険料を見込みで納付する「概算保険料」
また、概算保険料額が一定額以上となる場合は、保険料を分割して納付する「延納(分割納付)」が利用可能です。
労働保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)ごとに計算します。一方で、雇用保険料は給与や賞与の支給ごとに算出されるのが一般的です。
年度更新は、賃金集計に漏れがないか、自社に適用される事業区分や保険料率に誤りがないかを確認しながら進めましょう。
年度更新の申告・納付先
年度更新では、「労働保険概算・確定保険料/石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」(以下申告書)を作成し、保険料とあわせて提出します。
申告書の提出先は、金融機関、所轄の都道府県労働局または労働基準監督署です。電子申請にも対応しており、電子申請を行った場合は電子納付も利用できます。
ただし、納付する保険料がない場合は金融機関では受け付けられません。その場合は、申告書のみを所轄の都道府県労働局または労働基準監督署へ提出するか、郵送で手続きを行います。
なお、電子申請が義務付けられている事業場では、令和8年度の年度更新から紙の申告書が送付されなくなるため、電子申請で手続きを行えるよう準備しておく必要があります。
年度更新でよくある注意点
年度更新では、以下の2点に注意が必要です。
- 手続き期限を過ぎてしまった場合、追徴金が発生する可能性がある
年度更新の手続きが遅れると、政府が労働保険料や一般拠出金の額を決定することがあるほか、追徴金が課される場合があります。追徴金は、納付すべき保険料・一般拠出金の10%です。 - 一般拠出金の申告・納付は、すべての労災保険適用事業の事業主が対象
年度更新では労災保険料や雇用保険料だけでなく、石綿健康被害救済法に基づく「一般拠出金」もあわせて申告・納付します。一般拠出金は、労働者に支払った賃金総額に一般拠出金率(0.02/1,000)を掛けて算定します。
また、パート・アルバイトや年度途中の入退社者の賃金、賞与などは集計漏れが起こりやすいため注意が必要です。こうした集計ミスがあると、申告する保険料額に過不足が生じ、後から訂正申告や追加納付が必要となる場合があります。
年度更新では、保険年度中に支払った賃金をもとに保険料を算定するため、給与データや賞与データを漏れなく確認しましょう。
関連記事:【令和8年度(2026年度)】労災保険料率はいくら?業種別の料率や、保険料の計算方法を解説
関連記事:労働保険とは?労災保険・雇用保険との違いから加入条件をわかりやすく解説!
雇用保険料の給与計算で注意すべきポイント

雇用保険料は毎月の給与や賞与の支給時に計算・控除するため、給与計算業務の中で正確に処理することが重要です。
ここでは、実務上特に注意したいポイントを解説します。
パート・アルバイトでも雇用保険料が発生する場合がある
雇用保険は、正社員に限らず、一定の条件を満たすパート・アルバイトにも適用されます。
主な加入要件は以下のとおりです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
- 31日以上の雇用見込みがある
※2028年(令和10年)10月1日からは、週所定労働時間の要件が10時間以上に拡大予定です。
これらの要件を満たす場合は、雇用形態にかかわらず雇用保険の対象となり、雇用保険の資格取得の手続きが必要です。
特に、シフト制勤務で労働時間が変動する場合や、有期契約の更新が前提となっている場合は、加入要件を満たしているか判断が難しいケースがあります。そのため、雇用保険の加入対象であることを見落としやすく、注意が必要です。
65歳以上の労働者でも雇用保険料は発生する
65歳以上の労働者であっても、雇用保険の適用要件を満たす場合は「高年齢被保険者」として雇用保険の対象となります。
2020年4月1日まで高年齢労働者に対する保険料免除措置がありましたが、現在は終了しており、他の被保険者と同様に雇用保険料を計算・控除する必要があります。
また、2022年1月からは65歳以上で2つ以上の事業所で働く方で、2つの事業所での勤務時間合計が週20時間以上で雇用保険の対象とする「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が開始されています。
過去の取扱いの認識のまま保険料を控除していないか、複数勤務により適用要件を満たしていないかを確認しましょう。
役員は原則として雇用保険の対象外である
雇用保険は労働者を対象とした制度のため、企業の経営を担う役員は原則として対象外です。
ただし、役員であっても、雇用関係が明確で労働者としての性格を有する兼務役員に該当する場合は、雇用保険の対象となることがあります。たとえば、部長や工場長などとして日常的に業務に従事している場合が該当します。
業務内容や勤務実態、賃金の支払い区分などを踏まえて慎重に判断することが重要です。
雇用保険料は賞与も対象となる
雇用保険料は、労働の対償として支払われる賃金に対して算出されます。賞与も雇用保険料の算出対象となるため、支給月には支給額に雇用保険料率を掛けて計算します。
ただし、賞与として支給されるものであっても、結婚祝金や見舞金、金一封など、労働の対償として支払われないものは対象外となる場合があります。
雇用保険料は入社・退職月でも賃金に応じて発生する
雇用保険料は、労働者が雇用保険の被保険者となった月から発生します。月の途中で入社した場合や、雇用形態の変更により被保険者となった場合でも、その月に支払われた賃金があれば雇用保険料の対象です。
退職月についても、被保険者である期間に対応する賃金の支払いがあれば対象となります。雇用保険料は日割り計算ではなく、実際に支払われた賃金に料率を掛けて算出する点に注意が必要です。
関連記事:雇用保険に未加入だとどうなる?罰則・是正手続きのポイント・企業の注意点を解説!
関連記事:雇用保険の加入は何歳まで?65歳以上の加入要件や再雇用時の手続きを徹底解説!
まとめ|雇用保険料率を理解し給与計算ミスを防ごう

本記事では、令和8年度(2026年度)の雇用保険料率や事業区分ごとの違い、企業負担分・労働者負担分の考え方、保険料の計算方法を解説しました。
雇用保険料率は事業区分ごとに異なるため、自社に適用される料率を正しく判定し、保険料計算に反映することが求められます。賞与の計算漏れや加入要件の見落とし、賃金の範囲の判断を誤った場合、給与計算ミスや年度更新の申告誤りにつながるおそれがあります。
特に、雇用形態が多様な企業では、料率の適用や賃金集計を適切に管理することが欠かせません。雇用保険料率の確認や給与計算に不安がある場合は、社労士と連携しながら、ミスの防止と業務効率化を進めていきましょう。
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