【令和8年度(2026年度)】健康保険料率はいくら?会社負担・労働者負担を解説
健康保険料率は加入する保険者や都道府県によって異なり、毎年度見直しが行われます。健康保険料率を誤ったまま給与計算を続けると、保険料の過不足が積み重なり、労働者への説明・返金対応まで発展するリスクがあります。
令和8年度(2026年度)の協会けんぽの健康保険料率は、全国平均で9.90%です。また、2026年4月からは子ども・子育て支援金の徴収も開始されるため、健康保険料率とあわせて確認すべきポイントが増えています。
本記事では、令和8年度の都道府県別料率一覧から、保険料の計算方法、納付期限、給与への反映タイミング、入退社月の注意点まで解説します。料率を正しく把握し、給与計算のミスや修正対応を未然に防ぐために、本記事をご活用ください。
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健康保険料率とは?仕組み・決まり方・見直しの理由

健康保険料率とは、健康保険料を算出する際に用いる割合で、毎年度見直しが行われます。
加入先の保険者である「協会けんぽ(全国健康保険協会)」または「健康保険組合(組合健保)」によって料率が異なります。そのため、健康保険料を正確に算出するには、自社が加入している保険者の料率を確認することが重要です。
| 本記事では、一般の被保険者に適用される健康保険料率について解説します。なお、任意継続被保険者や日雇特例被保険者は取扱いが異なるため対象外としています。 |
健康保険とは
そもそも健康保険とは、被保険者やその家族が病気やけがをした際に、医療費の一部について給付を受けられる公的医療保険制度です。
主な給付には、以下のようなものがあります。
- 療養の給付(医療機関での窓口負担の軽減)
- 出産育児一時金
- 傷病手当金
- 出産手当金
企業が労働者を雇用する場合は、一定の要件を満たすことで健康保険の適用対象となります。
健康保険料率は毎年見直される
健康保険料率は、高齢化の進展や医療費の増加などにより保険財政のバランスを維持する必要があるため、毎年度見直されます。協会けんぽの場合、毎年3月分(4月納付分)から新しい料率が適用されます。
控除額や企業負担額を正しく算出し、給与計算や人件費の管理を適切に行うためには、毎年度、最新の料率を必ずチェックするようにしましょう。
健康保険料率に差が生じる理由
健康保険料率は、医療費の水準や加入者の年齢構成、各保険者の財政状況などを踏まえて決定されるため、地域や保険者によって差が生じます。
たとえば、高齢者の割合が高い地域では医療費が増加しやすく、その分、保険料率が高くなる傾向があります。また、医療機関の利用状況や医療費水準の違いも料率に影響を与える要因です。
協会けんぽでは、こうした地域ごとの医療費や加入者構成をもとに都道府県単位で料率が設定されています。一方で、健康保険組合では各組合の財政状況に応じて料率が決定されるため、同じ給与水準でも保険料に差が生じる場合があります。
健康保険料率は加入している保険者ごとに異なる
健康保険料率は全国一律ではなく、加入している「協会けんぽ」または「健康保険組合」によって異なります。
協会けんぽの場合、都道府県ごとに料率が設定され、同じ給与水準でも事業所の所在地によって保険料が変わります。一方で、組合健保の場合は、各健康保険組合が独自に料率を定めているため、組合ごとに保険料水準が異なる点に注意が必要です。
次章では、主に中小企業の加入者が多い協会けんぽの健康保険料率(令和8年度(2026年度))について詳しく解説します。
【都道府県別一覧】協会けんぽの健康保険料率(令和8年度(2026年度))

令和8年度(2026年度)の協会けんぽの健康保険料率は、都道府県ごとに異なります。
都道府県別の料率一覧は、以下のとおりです。
【健康保険料率※協会けんぽの場合】
| 都道府県 | 健康保険料率 | 都道府県 | 健康保険料率 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 10.28% | 青森県 | 9.85% |
| 岩手県 | 9.51% | 宮城県 | 10.10% |
| 秋田県 | 10.01% | 山形県 | 9.75% |
| 福島県 | 9.50% | 茨城県 | 9.52% |
| 栃木県 | 9.82% | 群馬県 | 9.68% |
| 埼玉県 | 9.67% | 千葉県 | 9.73% |
| 東京都 | 9.85% | 神奈川県 | 9.92% |
| 新潟県 | 9.21% | 富山県 | 9.59% |
| 石川県 | 9.70% | 福井県 | 9.71% |
| 山梨県 | 9.55% | 長野県 | 9.63% |
| 岐阜県 | 9.80% | 静岡県 | 9.61% |
| 愛知県 | 9.93% | 三重県 | 9.77% |
| 滋賀県 | 9.88% | 京都府 | 9.89% |
| 大阪府 | 10.13% | 兵庫県 | 10.12% |
| 奈良県 | 9.91% | 和歌山県 | 10.06% |
| 鳥取県 | 9.86% | 島根県 | 9.94% |
| 岡山県 | 10.05% | 広島県 | 9.78% |
| 山口県 | 10.15% | 徳島県 | 10.24% |
| 香川県 | 10.02% | 愛媛県 | 9.98% |
| 高知県 | 10.05% | 福岡県 | 10.11% |
| 佐賀県 | 10.55% | 長崎県 | 10.06% |
| 熊本県 | 10.08% | 大分県 | 10.08% |
| 宮崎県 | 9.77% | 鹿児島県 | 10.13% |
| 沖縄県 | 9.44% | ー | ー |
令和8年度(2026年度)の協会けんぽの健康保険料率は、全国平均で9.90%です。前年度(令和7年度)の全国平均(10.00%)と比較すると、全国平均はわずかですが引き下げられています。
都道府県別に見ると、最も高いのは佐賀県の10.55%、最も低いのは新潟県の9.21%です。地域によって1%以上の差があり、企業の所在地によって社会保険料の負担水準が大きく変わる点に注意が必要です。
また、40歳から64歳の労働者(介護保険第2号被保険者)は、健康保険料に加えて全国一律の介護保険料率(1.62%(企業・労働者それぞれ0.81%))が適用されます。
なお、健康保険組合が保険者の場合は、介護保険料率も協会けんぽとは異なるため、保険料を算出する際は適用される料率を必ず確認しましょう。
健康保険料の計算方法と計算例

健康保険料は、「標準報酬月額」および「標準賞与額」に健康保険料率を掛けて算出されます。実際に支払った給与額ではない点に注意が必要です。
まずは、これらの用語の意味を確認しておきましょう。
標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、労働者に支払われる毎月の報酬を一定の幅で区分し、等級ごとに定められた金額です。健康保険では報酬に応じて50等級に区分されており、基本給だけでなく、通勤手当や役職手当なども含めた報酬の総額をもとに決定されます。
標準賞与額とは
標準賞与額とは、賞与(ボーナス)に対して健康保険料の算出基準となる金額です。支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた額が標準賞与額です。
賞与については、給与とは別に保険料を計算し、賞与から控除します。
健康保険料の計算方法
健康保険料は、次の計算式で算出されます。
| 【健康保険料の計算式】健康保険料=標準報酬月額(または標準賞与額)×健康保険料率 |
算出された保険料は、企業が労働者負担分を給与または賞与から控除し、企業負担分とあわせて納付します。
なお、40歳から64歳の被保険者(介護保険第2号被保険者)の場合は、健康保険料に加えて介護保険料もあわせて徴収されるため、以下の計算例では介護保険料も含めて解説します。
給与計算においては、健康保険料に加えて介護保険料の控除漏れがないように確認しましょう。
健康保険料の計算例(企業負担・労働者負担)
たとえば、以下の場合の健康保険料を確認してみましょう。なお、健康保険料と併せて徴収される介護保険料も参考として併記しています。
- 事業所:保険者は協会けんぽ、事業所所在地は東京
- 労働者:40歳、標準報酬月額30万円、標準賞与額50万円
※健康保険料率・介護保険料率ともに令和8年度(2026年度)の料率で計算しています。
【計算例|毎月】
- 健康保険料:300,000円×9.85%=29,550円
(企業・労働者負担:それぞれ14,775円) - 介護保険料:300,000円×1.62%=4,860円
(企業・労働者負担:それぞれ2,430円) - 企業・労働者負担合計:それぞれ17,205円(14,775円+2,430円)
【計算例|賞与にかかる保険料】
- 健康保険料:500,000円×9.85%=49,250円
(企業・労働者負担:それぞれ24,625円) - 介護保険料:500,000円×1.62%=8,100円
(企業・労働者負担:それぞれ4,050円) - 企業・労働者負担合計:それぞれ28,675円(24,625円+4,050円)
賞与支給月は、毎月の給与にかかる健康保険料・介護保険料に加えて賞与分の保険料も発生するため、企業の負担が一時的に大きくなる点に注意が必要です。
健康保険料の納付方法と手続きの流れ

健康保険料は、厚生年金保険料とあわせて「社会保険料」として、日本年金機構へ納付します。企業が労働者負担分を給与または賞与から控除し、企業負担分とあわせて納付する仕組みのため、労働者個人が直接年金機構等へ納付することはありません。
社会保険料の納付は毎月発生し、納付方法や期限を正しく理解していないと、延滞金などのリスクが生じる可能性があります。
ここでは、社会保険料の納付方法や納付期限など、実務上押さえておきたいポイントを解説します。
社会保険料の納付方法
社会保険料の納付方法は、主に以下の3つです。
- 口座振替
- 金融機関の窓口
- 電子納付(Pay-easy)
電子納付とは、インターネットバンキング、モバイルバンキング、テレフォンバンキングなどが該当します。
これらを利用する場合は、あらかじめ金融機関との契約が必要です。利用方法については、各金融機関へ確認しておきましょう。
納付期限と延滞金
社会保険料の納付期限は、原則として納付対象月の翌月末日です。
納付が確認できない場合は、督促状が送付され、指定された期日を過ぎて納付すると延滞金が発生します。延滞金は、納付すべき保険料額に対して、納付期限の翌日から納付日の前日までの日数に応じて課されます。
令和8年(2026年)の延滞金の割合は、納付期限の翌日から3か月以内は年2.8%、それ以降は年9.1%です。納付が遅れるほど延滞金が膨らみ、企業の負担が大きくなります。期限管理には十分注意しましょう。
健康保険料率の改定時期と給与への反映タイミング

健康保険料率は、毎年度見直しが行われます。協会けんぽの場合、毎年3月分(4月納付分)の保険料から新しい料率が適用されます。
たとえば、多くの企業で採用されている翌月払いの場合は、以下のような流れです。
- 3月支給の給与から、2月分の健康保険料(旧料率)を控除
- 4月支給の給与から、3月分の健康保険料(新料率)を控除
一方で、当月払いの企業では、3月支給の給与から新料率が適用される場合もあります。
給与の締日や支給日により取扱いが異なるため、自社の給与計算の運用に応じて、適用タイミングを正しく確認することが重要です。
健康保険料率の給与計算で注意すべきポイント

健康保険料率をもとに給与計算を行う際は、年齢や制度改正、入退社のタイミングなどによって保険料の取扱いが異なる点に注意が必要です。
ここでは、実務で押さえておきたいポイントを解説します。
65歳以上でも健康保険料は発生する
65歳以上になると、介護保険料は給与からの控除が終了し、企業による負担もなくなります。一方で、健康保険料は引き続き企業と労働者で折半して負担します。
健康保険料は75歳(後期高齢者医療制度へ移行)になるまで発生するため、年齢に応じた取扱いに注意しましょう。
関連記事:健康保険は何歳まで?高年齢労働者への手続き対応と実務ポイントをわかりやすく解説!
子ども・子育て支援金の徴収が開始される(2026年4月〜)
2026年4月分(5月納付分)からは、新たに「子ども・子育て支援金」の徴収が開始されます。令和8年度(2026年度)の料率は、協会けんぽ・健保組合どちらでも、0.23%(労使折半でそれぞれ0.115%)です。
この支援金は、健康保険の仕組みを通じて徴収されますが、健康保険料とは区分して管理する必要があります。
給与計算においては、健康保険料や介護保険料の控除に加えて、子ども・子育て支援金の取扱いもあわせて押さえておきましょう。
関連記事:【2026年度最新|専門家が解説】子ども・子育て支援金とは?中小企業が知るべき制度内容と企業への影響
入社・退職のタイミングで保険料の発生有無が変わる
健康保険料は日割りではなく、1カ月単位で計算される仕組みです。そのため、月の途中で入社した場合でも、その月のうちに被保険者資格を取得していれば、1カ月分の保険料が発生します。
退職時は、資格喪失日が原則として退職日の翌日となるため、月途中に退職した場合はその月の保険料は発生しません。
ただし、以下の2つのケースは例外です。
- 月末(末日)に退職した場合
資格喪失日が翌月1日となるため、退職月の保険料が1か月分発生します。 - 入社と退職が同じ月に重なった場合
月途中の退職であっても、その月に資格を取得しているため、1か月分の保険料が発生します。
退職日や入社日のタイミングによって保険料の有無が変わるため、資格の取得日と喪失日を正確に把握しておきましょう。
まとめ|毎年度の健康保険料率改定を正しく把握し、給与計算ミスを防ごう

本記事では、令和8年度(2026年度)の健康保険料率について、都道府県別の料率一覧から計算方法、納付期限、給与への反映タイミング、実務上の注意点まで解説しました。
健康保険料率は毎年度見直されるため、料率の切り替え時期や翌月払い・当月払いの違いを把握しないまま給与計算を進めると、保険料の過不足が発生しやすくなります。
こうしたミスを防ぐためには、制度の基本を理解したうえで、自社の給与計算の運用にあわせた適切な対応が大切です。給与計算ソフトの設定や料率の更新も含め、年度替わりのタイミングで必ず確認しておきましょう。
毎年の料率改定や法改正を漏れなく把握し、法令を遵守した給与計算を継続するためにも、社労士と連携し、適切に対応できる体制を整えておくと安心です。
健康保険料について社労士に相談する
社労士を探す際には、全国6,000以上の事務所(全国の依頼可能な社労士の20%)の社労士が登録する、中小企業福祉事業団の「社労士ナビ」をご活用ください。
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会社が負担する社会保険料の種類と負担割合をまとめて確認したい方は、以下の記事をご参照ください。