【令和8年度(2026年度)】厚生年金保険料率はいくら?会社負担・労働者負担を解説
厚生年金保険料率は、企業の人件費と労働者の手取り額に影響する給与計算の重要な項目です。令和8年度(2026年度)の厚生年金保険料率は18.3%であり、企業と労働者が折半して負担します。
厚生年金保険料は全国一律ですが、標準報酬月額や賞与額に応じて負担額が決まるため、等級や改定タイミングの正しい把握が欠かせません。保険料の取扱いを誤ると、控除額や納付額にズレが生じる可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、厚生年金保険料率の仕組みと企業・労働者の負担割合、保険料の計算方法、給与計算時の注意点まで解説します。給与計算ミスの防止や適切な人件費管理にぜひご活用ください。
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厚生年金保険料率とは?厚生年金の仕組みと保険料の基本

厚生年金保険料率を理解し正確な給与計算を進めるためには、まず制度の仕組みを把握することが重要です。
ここでは、厚生年金制度の概要と保険料の基本を整理します。
厚生年金とは
厚生年金とは、企業で働く労働者や公務員など、給与を受けて働く被用者が加入する公的な年金制度です。老齢年金に加え、障害年金や遺族年金などの保障も含みます。
日本の年金制度は、基礎年金(国民年金)を1階部分とし、その上に厚生年金が上乗せされる「2階建て構造」です。企業に勤務する労働者は、国民年金と厚生年金の両方に加入するため、国民年金のみの場合と比べて将来受け取れる年金額が増えます。
なお、厚生年金の加入対象は、原則として厚生年金保険の適用事業所に使用される70歳未満の労働者が対象です。正社員だけでなく、一定の要件(週の所定労働時間や賃金など)を満たすパート・アルバイトも対象です。
正確な労務管理のためにも、企業は自社の労働者が加入対象に該当するかを把握しておく必要があります。
関連記事:企業が押さえるべき年金制度と実務対応のポイントを徹底解説
厚生年金保険料率の決まり方とポイント
厚生年金保険料率は全国一律で定められており、企業の所在地や加入する健康保険組合によって変わることはありません。
また、健康保険料率のように毎年度見直される仕組みではなく、段階的な引き上げを経て、平成29年(2017年)9月以降は18.3%で固定されています。企業にとって、将来の保険料負担をある程度見通せる点が特徴です。
具体的な保険料率や負担割合、計算方法については、次章で詳しく解説します。
令和8年度(2026年度)の厚生年金保険料率と会社・労働者の負担割合

令和8年度(2026年度)の厚生年金保険料率は、18.3%です。保険料は企業と労働者が原則として折半で負担するため、その割合はそれぞれ9.15%です。
企業は、労働者負担分を給与および賞与から控除し、企業負担分とあわせて日本年金機構(年金事務所等)へ納付します。
なお、企業が負担する保険料は、給与とは別に法定福利費※として管理されるのが一般的です。
※法定福利費とは
- 企業が法律に基づいて負担する社会保険料などの費用を指します。厚生年金保険料や健康保険料などが該当し、企業の人件費の中でも大きな割合を占めます。住宅手当や通勤手当などの福利厚生費とは異なる点に注意が必要です。
保険料は被保険者の給与の平均的な額である「標準報酬月額」に応じて算出されるため、給与が上がると企業が負担する法定福利費も増加します。そのため、企業は給与だけでなく、法定福利費を含めた総人件費で予算を設計することが重要です。
厚生年金保険料の計算方法|標準報酬月額と標準賞与額

厚生年金保険料は、実際の給与額ではなく、「標準報酬月額」または「標準賞与額」に保険料率を掛けて計算します。計算方法自体はシンプルですが、用語の意味を正しく理解していない場合、誤った金額で給与計算をしてしまうおそれがあるため注意が必要です。
ここでは、厚生年金保険料の計算に必要な用語と計算方法を解説します。
標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、労働者に支払われる毎月の報酬を一定の幅で区分し、等級ごとに定められた金額です。厚生年金保険では報酬に応じて32等級に区分されており、基本給だけでなく、通勤手当や役職手当なども含めた報酬の総額をもとに決定されます。
また、標準報酬月額は保険料の算出だけでなく、将来受け取る年金額の算定にも用いられます。一般的に、標準報酬月額が高いほど保険料の負担は増えますが、その分将来の年金額や障害・遺族に対する保障も手厚くなる仕組みです。
なお、2027年9月から標準報酬月額の上限引き上げが段階的に行われる予定です(2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円)。そのため、現在の上限である65万円を超えた給与水準の高い労働者を抱える企業は特に注意が必要です。詳しくは以下の記事をご確認ください。
参考記事:【2027年9月開始】厚生年金の標準報酬月額の上限引き上げ|企業が今すぐ準備すべきこと
標準賞与額とは
標準賞与額とは、賞与(ボーナス)に対して厚生年金保険料を算出する際の基準となる金額です。支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた額が対象となります。
また、標準賞与額は同一月内の合算で150万円が上限です。同じ月に賞与が複数回支給された場合は合算して上限を適用します。
なお、賞与とは、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の回数で支給されるものを指します。これを超える場合は、賞与ではなく標準報酬月額として扱われます。
厚生年金保険料の計算式
厚生年金保険料の計算式は以下のとおりです。
厚生年金保険料の計算式
- 厚生年金保険料=標準報酬月額(または標準賞与額)×18.3%
企業負担分・労働者負担分は、この金額を2分の1ずつ負担します。
給与分は毎月、賞与分は支給の都度、それぞれ保険料を算出します。なお、賞与支給月は毎月の給与分に加えて賞与分の保険料も発生するため、企業の負担が一時的に増加する点に注意が必要です。
厚生年金保険料の計算例

ここでは、標準報酬月額や標準賞与額に応じた、厚生年金保険料の具体的な負担額をケース別に確認していきましょう。
※保険料率は令和8年度(2026年度)の18.3%で計算します。
ケース①|標準報酬月額30万円(賞与なし)
毎月の保険料
- 300,000円×18.3%=54,900円
(企業負担:27,450円/労働者負担:27,450円)
年間の企業負担
- 27,450円×12か月=329,400円
標準報酬月額30万円の場合、企業は給与とは別に毎月約2.7万円、年間で約33万円の保険料を負担します。
ケース②|標準報酬月額41万円(賞与なし)
毎月の保険料
- 410,000円×18.3%=75,030円
(企業負担:37,515円/労働者負担:37,515円)
年間の企業負担
- 37,515円×12か月=450,180円
標準報酬月額の等級が上がると保険料もそれに応じて増加します。たとえば、標準報酬月額が30万円から41万円に上がった場合、毎月の企業負担は約1万円、年間では約12万円増加します。
ケース③|標準報酬月額30万円+賞与50万円(年1回)
毎月の保険料
- 300,000円×18.3%=54,900円
(企業負担:27,450円/労働者負担:27,450円)
賞与時の保険料
- 500,000円×18.3%=91,500円
(企業負担:45,750円/労働者負担:45,750円)
年間の企業負担
- (27,450円×12か月)+45,750円=375,150円
賞与がある場合は、その都度まとまった保険料負担が企業に発生します。標準報酬月額30万円で賞与が年1回(50万円)の場合、賞与分の保険料が加わるため、企業負担は年間で約37万円です。
このように、標準報酬月額や賞与額によって企業の保険料負担は大きく変わります。給与水準の設計や人員計画においては、厚生年金保険料を含めたコスト全体で試算することが重要です。
厚生年金保険料の納付方法

厚生年金保険料は、健康保険料や介護保険料(該当する場合)とあわせて社会保険料として、日本年金機構(年金事務所等)へ納付します。
納付は原則として毎月発生し、納付期限は翌月末日です。納付方法は、口座振替や金融機関の窓口、電子納付(Pay-easy)などがあります。
産前産後休業期間や育児休業期間中は、一定の要件を満たすことで、企業・労働者ともに厚生年金保険料の納付が免除されます。なお、納付が遅れると延滞金が発生するため、期限管理には注意が必要です。
社会保険料の納付スケジュールや手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【一覧表あり】社会保険料の会社負担はいくら?5つの制度別負担割合と納付スケジュールを解説
参考:日本年金機構|厚生年金保険料等の納付
厚生年金保険料の給与計算で注意すべきポイント

厚生年金保険料率は全国一律で固定されているため、保険料の計算式そのものは難しくありません。一方で、標準報酬月額の見直しや反映タイミングを誤ると、給与計算ミスや保険料の過不足につながるおそれがあります。
ここでは、実務上、特に注意すべきポイントを整理します。
標準報酬月額の見直し(定時決定・随時改定)を適切に届け出る
標準報酬月額は、一定のタイミングで日本年金機構への届出が必要です。
- 定時決定(算定基礎届):
毎年1回、4月〜6月の報酬をもとに届出(提出期限:毎年7月10日) - 随時改定(月額変更届):
給与が大きく変動した場合に届出
特に、定時決定では毎年4月から6月の報酬が基準となるため、この期間の残業代や手当の増減が標準報酬月額に影響します。たとえば、繁忙期で残業が増えたなど一時的な収入増加であっても等級が引き上げられ、その後1年間の保険料が高くなる可能性があります。
想定外の人件費増につながらないよう、適切な労働時間管理や人員配置を実施することが重要です。
参考:日本年金機構|定時決定(算定基礎届)
参考:日本年金機構|随時改定(月額変更届)
保険料が給与に反映されるタイミングを正しく理解する
標準報酬月額が変更された場合でも、保険料が即時に反映されるわけではありません。
適用されるタイミングは以下のとおりです。
- 定時決定による変更:
原則として9月分(通常は10月支給の給与)から翌年の8月まで適用 - 随時改定による変更:
変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4か月目の標準報酬月額から適用
標準報酬月額の変更が給与に反映されるまでには一定の期間があるため、給与額と保険料額のズレにより、労働者からの問い合わせにつながるケースもあります。
標準報酬月額が変更された際は、いつから・いくら保険料が変わるのかを労働者へ事前に説明できるよう、正確な理解と情報共有の体制を整えておきましょう。
入退社時の保険料の取扱いを確認する
厚生年金保険料は月単位で発生するため、入社日や退職日によって保険料の有無が変わります。
入社・退職のタイミング別の保険料の扱いは以下のとおりです。
- 月の途中で入社した場合:
その月に資格を取得していれば、1か月分の保険料が発生します。 - 月の途中で退職した場合:
退職日の翌日が資格喪失日となるため、保険料は資格喪失日が属する月の前月分まで発生し、退職月分は発生しません。 - 月末に退職した場合:
資格喪失日が翌月1日となるため、退職月の保険料が発生します。
給与計算時には資格の取得日と喪失日を正確に確認し、控除額の過不足が生じないよう管理しましょう。
参考:日本年金機構|Q.月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。
まとめ|厚生年金保険料率を理解し、正確な給与計算を行おう

本記事では、厚生年金保険料率の仕組みと企業・労働者の負担割合、保険料の計算方法、給与計算時の注意点まで解説しました。
厚生年金保険料率は全国一律18.3%ですが、実際の保険料負担額は標準報酬月額や賞与額によって異なります。また、定時決定や随時改定のタイミング、入退社時の取扱いを誤ると、保険料の過不足や給与計算ミスにつながるおそれがあるため、正確な理解が欠かせません。
これらの実務には専門的な知識が求められる場面も多いため、社労士と連携することで業務負担の軽減や計算ミスのリスク低減につながります。正確で効率的な労務管理を行うためにも、専門家である社労士へ相談すると安心です。
厚生年金保険料率について社労士に相談する
社労士を探す際には、全国6,000以上の事務所(全国の依頼可能な社労士の20%)の社労士が登録する、中小企業福祉事業団の「社労士ナビ」をご活用ください。
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