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更新日:2026 / 03 / 05
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【2026年最新】確定拠出年金の改正を徹底解説|企業が押さえるべき変更点と対応ポイント

2025(令和7)年に公布された年金制度改正および税制改正により、確定拠出年金制度は、2026年にかけて段階的に改正されます。

今回の改正では、マッチング拠出の制限撤廃、iDeCoの加入可能年齢の引き上げ、拠出限度額の見直しなど、企業実務に直結する変更が含まれています。施行時期も「2026年1月・4月・12月」と分かれており、内容ごとに確認すべきポイントが異なります。

改正内容を十分に把握していない場合、労働者への説明不足や掛金設計の見直し漏れが生じ、問い合わせ対応や社内調整の負担が増えるおそれがあります。

本記事では、確定拠出年金の基本を整理したうえで、2026年の改正内容を施行順に解説し、企業が対応すべき実務ポイントを整理します。

自社制度との整合性を早めに確認し、混乱のない制度運用につなげるために、ぜひ参考にしてください。

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確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)とは

2025年の制度改正により、確定拠出年金は2026年4月・12月に段階的に見直されます。改正内容を正しく理解するために、まずは確定拠出年金制度の基本を押さえておきましょう。

ここでは、基本的な仕組みと、企業型DC(企業型確定拠出年金)・iDeCo(個人型確定拠出年金)について整理します。

確定拠出年金の基本的な仕組み

確定拠出年金は、あらかじめ定められた掛金を拠出し、加入者が運用する年金制度です。豊かな老後生活のために自主的に資産形成を行う仕組みであり、将来受け取る給付額は、拠出額と運用成果によって決まります。

企業の退職給付制度として導入される場合もあれば、個人が老後資産形成のために加入する場合もあります。企業が給付額を保証する制度ではない点が特徴です。

なお、企業型DC加入者は、一定要件を満たす場合にiDeCoにも加入できます。一方、マッチング拠出(加入者掛金)を拠出している場合はiDeCoに加入できないなどの条件があるため注意が必要です。

企業型DCとiDeCoの違い

企業型DCとiDeCoはいずれも確定拠出年金で、掛金の所得控除や運用益の非課税といった税制優遇があります。一方で、実施主体や掛金の拠出者などが異なります。

それぞれの違いは以下のとおりです。

企業型DC(企業型確定拠出年金)

  • 企業が制度を実施し、原則として事業主が掛金を拠出
  • 企業型年金規約に定めた場合は加入者も拠出が可能(マッチング拠出)
  • 運用商品を企業が選定し、その中から労働者が選択

iDeCo(個人型確定拠出年金)

  • 国民年金基金連合会が実施し、個人が任意で加入
  • 掛金は原則として本人が負担
    ただし、「iDeCo+(イデコプラス)」を利用する場合は事業主も拠出可能
  • 加入者自身が運営管理機関(金融機関等)を選ぶ

今回の改正内容を正しく理解するためにも、まずは両者の違いを整理しておくことが重要です。

確定拠出年金の改正の概要

確定拠出年金の改正のポイントは、拠出の考え方や運用ルールを見直し、制度をより柔軟に使える形へ調整している点にあります。改正は2026年4月1日と2026年12月1日に分けて段階的に施行予定です。

今回の改正では、企業型DCについては規約や運用ルールの見直しが必要となる場合があります。一方、iDeCoについては制度運営に企業が直接関与するわけではありませんが、拠出限度額の考え方などについて、労働者への説明や問い合わせ対応が重要となります。

ここでは、まず改正の背景と目的を整理した上で、企業対応に関係するポイントを中心に、2026年に予定されている施行スケジュールを時系列で確認します。

改正の課題と背景

確定拠出年金は、60歳以降も働く人が増える中、拠出可能年齢や限度額の仕組みが実態に合わないケースがあり、制度の柔軟性が課題でした。

また、企業年金の有無や制度の違いによって、拠出できる金額や税制上の取扱いに差が生じている点についても、制度の分かりにくさや公平性の観点から見直しが求められてきました。

改正の目的

今回の改正の目的は、確定拠出年金を働き方やライフスタイルの変化に対応できる、より使いやすい私的年金制度へ整備することです。

この見直しにより、長く働く方や途中で働き方が変わった方であっても制度の違いに左右されにくく、継続的に老後資産の形成がしやすい環境を整えることを目指しています。

改正のスケジュール

確定拠出年金の改正は、以下のとおり、2026年に2つのタイミングで段階的に施行されます。

2026年4月

  • マッチング拠出の制限撤廃
  • 企業型DCの手続き簡素化(簡易型DCの統合等)
  • 自動移換に関する説明時期の見直し
  • iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)の届出簡素化

2026年12月

  • 拠出限度額の見直し
  • iDeCoの加入対象の拡大

これらは、いずれも確定拠出年金制度の運用や設計に直接関わる改正です。制度を導入している企業では、規約や社内運用の見直しが必要となる場合があるため、改正内容を早期に把握し、自社制度への影響を確認しておくことが重要です。

また、2026年1月には税制改正として「確定拠出年金や退職金の受け取りに関する退職所得控除の適用ルール」が見直されています。この点については、確定拠出年金制度そのものの改正ではないため、本記事では補足的に取り扱います。

次章から、改正内容を順に確認していきましょう。

確定拠出年金の改正①:マッチング拠出の制限撤廃(2026年4月1日施行)

2026年4月1日から、企業型DCのマッチング拠出における加入者掛金の制限が撤廃されます。

これまで、加入者掛金(労働者が任意で上乗せする掛金)は事業主掛金を超えられない要件がありました。

改正後はこの要件が廃止され、企業が規約で認めた場合に限り、合計が法定の拠出限度額の範囲内であれば、加入者掛金が事業主掛金を上回る設定も可能となります。

例:事業主掛金が月1万円の場合

  • 改正前:加入者掛金は月1万円まで(合計月2万円)
  • 改正後:加入者掛金は月4.5万円まで可能(合計月5.5万円)

※2026年4月時点の企業型DCの拠出限度額は月額5.5万円です(6.2万円への引上げは2026年12月施行)。

これにより、企業が規約で認めた場合、加入者は拠出限度額の範囲内で掛金を柔軟に設定できるため、働き方や所得状況に応じた老後資産形成がしやすくなります。

一方で、実際に加入者掛金を事業主掛金以上に認めるかどうかは、企業の運用方針と規約内容によって決まります。マッチング拠出を実施している企業は、規約や社内ルールを確認し、労働者への案内方法を整理しておきましょう。

特に、事業主掛金を低めに設定している企業では、加入者掛金の増加により拠出額のバランスが大きく変わる可能性があります。そのため、掛金水準の設計意図や人件費バランスへの影響も踏まえ、制度設計を再確認することが重要です。

確定拠出年金の改正②:企業型DCの手続き簡素化と説明ルールの見直し(2026年4月1日施行)

2026年4月1日から、マッチング拠出の制限撤廃のほか、以下のような手続き面の簡素化や説明ルールの変更も行われます。

中小事業主掛金納付制度の届出の簡素化

中小事業主掛金納付制度(iDeCoプラス)を実施する企業は、これまで厚生労働大臣と国民年金基金連合会(国基連)の両方に必要書類を届け出る必要がありました。

改正後は届出先が国基連に一本化され、国基連から厚生労働大臣への書類送付に変更されます。これにより、中小企業の事務負担が軽減されます。

自動移換に関する説明時期の見直し

企業型DCの資格喪失(退職等)に伴う手続きに関する説明は、「資格喪失後」ではなく「資格喪失が見込まれる段階」での実施が義務づけられます。

この見直しは、退職予定者が事前に手続きを理解し、準備できるようにすることで、自動移換されるケースを減らす狙いがあります。

簡易型DCの統合

2018年に中小企業向けに創設された「簡易企業型年金(簡易型DC)」は、通常の企業型DCに統合されます。あわせて、簡易型DCで簡素化されていた手続きの一部が通常の企業型DCにも適用され、すべての事業主が取り組みやすい設計に改善されます。

制度の基本的な仕組みは変わりませんが、退職時の説明タイミングや届出フローが見直されます。企業は、退職時の説明手順や担当部署の役割、届出の提出先などを改めて確認し、必要に応じて更新しておくことが求められます。

確定拠出年金の改正③:iDeCoの加入可能年齢の引き上げ(2026年12月1日施行)

2026年12月1日から、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢が70歳未満まで引き上げられます。

現在、iDeCoは原則として国民年金の被保険者であり、かつ老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者が加入対象です。

改正後は、60歳以上70歳未満の国民年金被保険者以外の者についても、要件を満たせばiDeCoの加入・継続拠出が認められます。これらの者は、iDeCoの加入対象者として「第5号加入者」に区分されます。

対象となるのは、以下の(1)〜(3)のいずれかに該当する者です。

  1. iDeCo加入者
  2. iDeCoの運用指図者
  3. 企業年金からiDeCoへ資産を移換する者

満たすべき要件

  • 老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者
  • マッチング拠出を実施していない者

第5号加入者の拠出限度額は、企業年金等を含めた合算で月額6.2万円が上限です。

また、施行日から3年を経過するまでは、上記(1)~(3)の要件のいずれにも該当しない者でも、60歳以上70歳未満であればiDeCoへの加入が可能です。

制度変更そのものは個人に関するものですが、今後は60歳以降も働く労働者からの問い合わせが増えることが想定されます。企業は、企業型DCとの関係を整理し、説明資料や案内フローを整備しておくと安心です。

確定拠出年金の改正④:拠出限度額の引き上げ(2026年12月1日施行)

2026年12月1日から、企業型DC・iDeCo・国民年金基金の拠出限度額が引き上げられます。

特に、第2号加入者(厚生年金保険の被保険者)については、勤務先に企業年金があるかどうかでiDeCo上限が分かれていた仕組みが整理され、iDeCoと企業年金等の合計で月6.2万円を上限とする仕組みに変わります。

ここでは、企業が関わる企業型DCとiDeCoの引き上げについて、それぞれ解説します。

企業型DCの拠出限度額引き上げ

企業型DCの各月限度額は、現在の月額5.5万円から、改正により6.2万円へ引き上げられます。

ただし、確定給付企業年金(以下、DB※)など他の企業年金制度の状況によっては、一律6.2万円になるわけではありません。企業年金等に加入している場合は、上限が「月額6.2万円から、他制度掛金相当額を差し引いた額」として調整されます。

また、令和3年改正時の経過措置の適用を受けている他制度加入者については、条件に該当しない限り、引き続き月額2.75万円が上限となるケースがあります。

※確定給付企業年金(DB)とは

  • 企業が労働者とあらかじめ給付額を定め、その内容に基づいて労働者に年金を支給する企業年金制度を指します。

掛金設計や説明内容に直結する改正です。自社が一律6.2万円の対象となるのか、DB等との併用で上限が変わるのかを確認し、制度説明資料を更新しておく必要があります。

iDeCoの拠出限度額の見直し(穴埋め方式へ)

今回の改正では、iDeCoの拠出上限が「区分ごとの固定額」から、「他の年金制度と合算して考える仕組み(穴埋め方式)」へと見直されました。

企業対応に影響が大きい、第2号加入者(厚生年金保険の被保険者)のiDeCo上限の変化は以下のとおりです。

区分 改正前 改正後(2026年12月~)
企業年金がない場合 月額2.3万円 月額6.2万円(iDeCoと企業年金等の合計の上限)
企業型DC・DBなどの企業年金がある場合 月額2.0万
(固定)
月額6.2万円から企業型DC・DBなどの掛金額を差し引いた残りの範囲で拠出可能

※企業年金がある場合、iDeCoで拠出できる金額は企業年金の掛金額によって変動します。

なお、第2号加入者以外の変更点は以下のとおりです。

  • 第1号加入者(自営業など)・第4号加入者(国民年金任意加入被保険者)
    iDeCoと国民年金基金等の共通拠出限度額が、月額6.8万円から7.5万円へ引き上げられます。
  • 第3号加入者(配偶者)
    iDeCo上限は月額2.3万円のまま。今回の改正による変更はありません。
  • 第5号加入者(60~70歳・新設)
    iDeCoと企業年金等の合計で月額6.2万円が上限です。

企業型DCを導入している企業では、労働者ごとにiDeCoの拠出可能額が異なる仕組みに変わるため、問い合わせ対応が複雑化する可能性があります。企業型DCの掛金水準との関係を早めに整理しておきましょう。

参考:厚生労働省|2025年の制度改正

参考:厚生労働省|確定拠出年金法施行令の一部を改正する政令の公布について(通知)

【補足】退職所得控除の見直し(2026年1月施行・税制改正)

2026年1月1日以後に支払を受ける退職手当等から、退職所得控除の調整ルールが見直されています。

退職金などの「退職所得」は、退職所得控除額を差し引いたうえで、その2分の1が課税対象となります。これまでは、iDeCoや企業型DCを一時金で受け取った後、5年以上を空けて退職金を受け取る場合、両方に退職所得控除を活用できるケースがありました(いわゆる5年ルール)。

改正後は、この期間が10年に延長されました。そのため、確定拠出年金と退職金の受取時期が近い場合は退職所得控除を十分に活用できず、結果として税負担が増える可能性があります。

この見直しは税制改正であり、企業型DCの規約変更を求めるものではありません。ただし、退職金制度を設けている企業では、退職時の説明や再雇用時の案内に影響します。

特に、以下の企業は注意が必要です。

  • 企業型DCと退職一時金を併用している企業
  • 確定給付企業年金(DB)も導入している企業

いずれも、退職所得として扱われる給付が複数発生する可能性があるため、受取時期によって税負担が大きく変わるおそれがあります。

受取時期によって税負担が変わる可能性があるため、労働者への退職時説明に備えて、退職金制度(DC・DB・退職一時金)の全体像を整理しておきましょう。

確定拠出年金の改正による企業への影響

今回の改正は、企業年金制度の有無や掛金設計によって影響が異なります。企業は自社制度に照らして、必要な対応を整理する必要があります。

  • 企業型DCでマッチング拠出を導入している企業
    制限撤廃を踏まえ、加入者掛金を事業主掛金以上にできる取扱いを認めるか検討が必要です。変更する場合は規約と社内ルールを確認しましょう。
  • DBなど他の企業年金制度を併用している企業
    企業型DCの上限は一律6.2万円ではありません。企業年金等との組み合わせで上限が調整されるため、掛金設計への影響を確認しましょう。
  • 60歳以降も再雇用制度を設けている企業
    iDeCoの加入可能年齢の引き上げにより、退職・再雇用時の案内が変わります。企業型DCとiDeCoの関係を整理し、説明資料を更新しておきましょう。
  • 退職一時金制度がある企業
    退職所得控除が「10年ルール」に延長されたことにより、受取時期によって税負担が変わる可能性があります。退職給付制度(企業型DC・DB・退職一時金)の全体像を整理し、問い合わせに備えましょう。
  • 中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)を実施している企業
    届出先が一本化されるため、提出先と手続きフローを確認しましょう。

改正対応では、規約変更の要否、掛金上限の計算、労働者への説明内容の見直しがミスになりやすいポイントです。必要に応じて社労士等と連携しながら進めると安心です。

まとめ|確定拠出年金の改正に向けて早めの対応を進めよう

本記事では、確定拠出年金の改正について、2026年4月・12月の施行内容を中心に、企業型DCの運用見直しや拠出限度額の変更、iDeCoの加入可能年齢の引き上げを解説しました。

今回の改正により、制度はより柔軟になりますが、企業にとっては拠出上限の考え方や加入条件が変わります。自社の企業年金制度との整合性を確認し、規約や説明資料、運用ルールを見直しておくことが重要です。

特に、企業型DCとDB・退職一時金を併用している企業では、掛金設計や退職時の案内内容に影響が生じる可能性があります。

確定拠出年金は、企業型DC・DB・退職一時金・iDeCoが複雑に絡み合う分野です。改正内容を踏まえ、自社制度にどう影響するのかを具体的に整理し、必要に応じて社労士などの専門家と連携しながら対応を進めましょう。

確定拠出年金の改正について社労士に相談する

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初回相談が無料の社労士も多いため、事務所のスタンスや人柄をしっかり見極めた上で依頼しましょう。

執筆者

中小企業福祉事業団 編集部

 
日本最大級の民間社労士団体として、社労士を介して中小企業を支援する活動を行っています。本サイト「社労士ナビ」は、課題を抱える中小企業が、課題を解決できる社労士を探して、巡り合えるように構築しました。「社労士ナビ」が中小企業の人事・労務課題を解決する一助になれば幸いです。

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