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人事・労務
更新日:2026 / 07 / 03
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労働条件通知書とは?記載事項と2024年4月改正の対応ポイント

労働条件通知書は、雇入れ時に労働条件を明示するための重要書類です。記載漏れや古い書式の使用は、採用後の認識違いや労務トラブルにつながることがあります。本記事では、基本事項、雇用契約書との違い、2024年4月改正への対応、社労士に相談すべき判断基準を解説します。

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労働条件通知書とは雇入れ時に交付する重要書類

労働条件通知書とは、企業が労働者を雇い入れる際に、賃金、労働時間、契約期間などの労働条件を明示するための書類です。労働者に対する労働条件の明示は、労働基準法第15条に基づく重要な手続きであり、正社員だけでなく、パート、アルバイト、有期契約労働者にも関係します。まずは「誰に、いつ、何を明示する書類なのか」を整理することが、労務トラブルを防ぐ第一歩です。厚生労働省もモデル労働条件通知書を公開しています。

参考:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます
参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)

労働条件通知書の目的と交付が必要な場面

労働条件通知書の目的は、採用時に企業と労働者の認識をそろえることです。たとえば、入社後に「聞いていた賃金と違う」「勤務地が想定と異なる」といった行き違いが起きると、早期離職や労使トラブルにつながるおそれがあります。そのため、労働契約を結ぶタイミングで、勤務地、労働時間、休日、賃金、退職に関する事項などを明確に示します。内定通知や求人票だけでは、法令上必要な労働条件の明示を満たさない場合があるため、採用決定後から入社日までに交付する運用を整えておくと安心です。

正社員・パート・ 契約社員で共通して必要な確認

労働条件通知書は、正社員だけに必要な書類ではありません。パート、アルバイト、契約社員など、名称にかかわらず労働者を雇用する場合は、労働条件の明示が必要です。確認すべき基本項目は、契約期間、就業場所、業務内容、始業・終業時刻、休憩、休日、賃金の計算方法、支払日などです。短時間労働者や有期雇用労働者については、昇給、退職手当、賞与の有無や、有期雇用契約の更新の有無と更新の基準なども確認対象になります。雇用形態ごとに書式を分ける場合でも、共通項目の抜け漏れがないかを一覧化して管理すると、担当者による記載差を防ぎやすくなります。

労働条件通知書を交付しない場合の実務リスク

労働条件通知書を交付しないまま勤務が始まると、労働条件の証拠が残らず、企業側も労働者側も事実確認に時間を要します。特に、試用期間中の賃金、固定残業代、契約更新の有無、配置転換の範囲などは、後から説明しても納得を得にくい項目です。書面がない場合、担当者の説明内容や口頭合意の有無をめぐって争いになることがあります。実務では、入社書類の一部として交付日、本人への説明日、受領確認の記録を残す運用が有効です。電子交付を行う場合も、労働者が内容を確認・保存できる状態にしておく必要があります。

労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働条件通知書と雇用契約書は、どちらも採用時の労働条件を確認する場面で使われますが、役割は同じではありません。労働条件通知書は企業が労働条件を明示するための書類であり、雇用契約書は企業と労働者の合意内容を確認する書類です。実務では両者を兼用するケースもありますが、法令上の明示事項を満たしているかを基準に確認する必要があります。

雇用契約書の基本や労働条件通知書との違いについては、関連記事「雇用契約書とは?労働条件通知書との違いと記載項目・兼用時の注意点を徹底解説」でも詳しく解説しています。

労働条件通知書は企業から労働者への明示書面

労働条件通知書は、企業が労働者に対して労働条件を一方的に「知らせる」性質を持つ書面です。労働基準法では、賃金や労働時間など一定の事項について、労働契約の締結時に明示することが求められています。たとえば、入社時に会社が作成した通知書を本人へ渡し、その内容を説明することが該当します。本人の署名欄がない様式であっても、必要な事項が記載され、労働者が確認できる状態で交付されていれば、労働条件通知書としての役割を果たします。

雇用契約書は双方の合意を確認する書類

雇用契約書は、企業と労働者が労働条件に合意したことを確認するための書類です。一般的には、会社名、労働者名、契約期間、賃金、勤務場所、業務内容などを記載し、双方が署名または記名押印します。労働条件通知書が「明示」に重点を置くのに対し、雇用契約書は「合意の証拠」を残す点に実務上の意味があります。後日、条件変更や契約更新を行う場合にも、過去の合意内容を確認しやすくなるため、人事労務管理では重要な保管書類になります。

兼用書式を使う場合に確認すべき項目

企業では「労働条件通知書兼雇用契約書」という形式を使うことがあります。この場合は、法令上明示が必要な項目を満たしたうえで、労働者の署名欄や合意日を設けると、通知と契約確認の両方に対応しやすくなります。確認すべき項目は、契約期間、就業場所、業務内容、労働時間、休日、賃金、退職、更新の有無などです。さらに、就業規則の適用関係や固定残業代の内訳など、自社でトラブルになりやすい項目も追記しておくと、説明不足を防ぎやすくなります。

労働条件通知書に記載すべき明示事項

労働条件通知書には、労働契約を結ぶ際に必ず確認すべき条件を記載します。特に、契約期間、就業場所、業務内容、労働時間、賃金、退職に関する事項は、労働者の働き方に直接影響するため、曖昧な表現を避けることが大切です。この章では、必ず明示する事項と、制度がある場合に記載する事項を分けて整理します。2024年4月からは明示事項が追加されているため、最新様式での確認が必要です。

必ず書面などで明示すべき絶対的明示事項

絶対的明示事項は、労働契約を結ぶ際に必ず示す必要がある項目です。具体的には、労働契約の期間、有期契約を更新する場合の基準、就業場所と業務内容、始業・終業時刻、残業の有無、休憩、休日、休暇、賃金の決定・計算・支払方法、賃金締切日・支払日、退職に関する事項などが該当します。企業では、採用時の条件入力シートを作り、求人票、面接時の説明、労働条件通知書の内容を照合すると、記載漏れや説明のずれを防ぎやすくなります。

就業規則に必ず記載すべき事項については、関連記事「就業規則の絶対的記載事項とは?作成する際の注意点も解説」もあわせてご覧ください。

上記の労働基準法(施行規則)に基づく絶対的明示事項に加え、短時間労働者や有期雇用労働者の雇入れ時には、パートタイム・有期雇用労働法(施行規則)に基づき、「昇給」「退職手当」「賞与」の有無、「相談窓口」の明示が義務付けられています。

また、2026(令和8)年10月以降は、これらに加え「待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨」の明示が必要になります。

参考:パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります(令和8年10月1日施行)|厚生労働省

令和8年改正や短時間・有期雇用労働者の待遇ルールは、厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」も参照できます。

制度がある場合に記載する相対的明示事項

相対的明示事項は、会社に制度や定めがある場合に明示する項目です。たとえば、退職手当、賞与などの臨時賃金、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰・制裁、休職に関する事項などが挙げられます。すべての会社で同じ項目を書くのではなく、自社の就業規則や賃金規程に該当する制度があるかを確認して記載します。たとえば、賞与制度がある会社で「賞与なし」と誤って記載すると、社内規程との不整合が生じます。制度の有無だけでなく、対象者や支給条件の参照先も確認しておくと実務で扱いやすくなります。

就業規則や賃金規程と整合させる確認ポイント

労働条件通知書は単独で作成するのではなく、就業規則、賃金規程、育児・介護休業規程、パートタイマー規程などと照らし合わせる必要があります。確認しやすい項目は、試用期間、休日数、時間外労働の扱い、各種手当、固定残業代、休職、退職事由です。たとえば、就業規則では定年後再雇用の条件を定めているのに、通知書では契約更新の基準が空欄になっていると、更新時の説明が難しくなります。書式を改定する際は、人事担当者だけでなく、給与計算や現場責任者が使う資料も同時に見直すと、運用上の差を減らせます。

労働時間の整理に不安がある場合は、関連記事「所定労働時間とは?他の労働時間との違いや、実務上の注意点を徹底解説」も参考になります。

労働条件通知書の2024年4月改正ポイント

2024年4月1日から、労働条件通知書で明示すべき事項が追加され ています。改正の中心は、雇入れ直後の条件だけでなく、将来的にどの範囲で就業場所や業務が変わる可能性があるのか、有期契約がどこまで更新されるのかを明確にする点です。特に有期契約労働者を雇用している企業では、契約更新時の書式と説明方法を見直す必要があります。

2024年4月改正の詳細は、厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」で確認できます。

就業場所と業務の変更の範囲の書き方

2024年4月以降は、すべての労働者について、雇入れ直後の就業場所・業務内容に加え、将来の「変更の範囲」を明示する必要があります。たとえば、勤務地が本社に限定される場合は「本社」、転勤の可能性がある場合は「会社の定める事業所」など、実態に応じて記載します。業務内容も同様に、採用時の職種だけでなく、配置転換の可能性を踏まえた範囲を示します。ただし、実際には想定していない広すぎる表現を使うと、労働者に不安を与えることがあります。人事異動の運用、職種限定採用の有無、在宅勤務制度の扱いを確認したうえで記載することが実務上のポイントです。

有期契約労働者に必要な更新上限の明示

有期契約労働者については、契約締結時と契約更新時ごとに、更新上限の有無と内容を明示する必要があります。更新上限とは、通算契約期間や更新回数の上限を指します。たとえば「更新は通算5年まで」「更新回数は4回を上限とする」といった記載が考えられます。更新上限を設けない場合でも、空欄にせず「更新上限なし」と明示すると、本人との認識差を避けやすくなります。また、当初は上限を設けていなかったのに後から新設する場合や、既存の上限を短縮する場合には、あらかじめ理由を説明する対応が求められます。

無期転換申込機会と転換後の労働条件の明示

同一の使用者との有期労働契約が通算5年を超える場合、労働者の申込みにより無期労働契約へ転換できる制度があります。2024年4月以降は、無期転換申込権が発生する契約更新のタイミングごとに、 転換後の労働条件を明示する必要があります。実務では、対象者の通算契約期間を管理し、更新書類に無期転換申込欄や転換後条件の記載欄を設けておくと対応漏れを防げます。特に、無期転換後の勤務地、業務、賃金、定年の扱いは、就業規則や無期転換社員規程と整合させておく必要があります。

労働条件通知書の作成・交付の進め方

労働条件通知書は、採用が決まってから入社するまでの間に、必要事項を整理して交付する流れを社内で決めておくと運用しやすくなります。担当者ごとに判断が分かれると、同じ雇用形態でも記載内容に差が出ることがあります。この章では、モデル様式を活用しながら、自社の制度に合わせて作成し、交付・保存までを管理する実務手順を説明します。

厚生労働省のモデル様式を使う際の調整点

厚生労働省のモデル労働条件通知書は、必要な明示事項を確認する際の参考になります。ただし、そのまま使うだけでは、自社の勤務制度や賃金体系に合わない場合があります。たとえば、シフト制、フレックスタイム制、変形労働時間制、固定残業代、テレワーク制度などがある会社では、該当欄に実態が伝わる記載を追加する必要があります。モデル様式を基礎にしつつ、就業規則、賃金規程、雇用形態ごとの社内ルールを照合し、空欄や「別途定める」の多用を避けることが実務上の調整点です。

採用決定から入社日までの交付フロー

交付フローは、採用条件の確定、通知書の作成、社内確認、本人への交付、受領記録の保存という順番で設計すると管理しやすくなります。たとえば、面接時に提示した条件を採用決定後に人事担当者が確認し、給与額、勤務地、業務内容、入社日、試用期間を確定させてから作成します。その後、上長や給与担当者が内容を確認し、入社前説明や雇用契約手続きの場で本人に交付します。交付日と説明担当者を記録しておくと、後日確認が必要になった場合に経緯を追いやすくなります。

電子交付を行う場合の同意と保存方法

労働条件通知書は、一定の条件を満たせば電子メールやクラウドサービスなどで交付することもできます。実務では、労働者本人が電子交付を希望しているか、書面として出力できる形式か、本人が内容を確認・保存できる状態かを確認します。たとえば、PDF形式で送付し、受信確認や同意記録を残す方法が考えられます。チャットだけで条件を伝える、閲覧期限の短いURLで送る、本人が保存できない形式にする運用は避けたほうがよいでしょう。電子交付を導入する場合は、入社手続き規程や個人情報管理のルールとも合わせて整備します。

労働条件通知書で企業が注意すべきトラブル

労働条件通知書は、形式を整えるだけでなく、採用時の説明や入社後の運用と一致していることが大切です。書面上の条件と実際の働き方に差があると、賃金、勤務場所、契約更新などをめぐる認識違いが生じやすくなります。この章では、企業で起こりやすいトラブルを取り上げ、事前に確認すべき実務上のポイントを整理します。

労働条件をめぐる相談先は、厚生労働省「労働基準行政の相談窓口」にまとまっています。

求人票と労働条件通知書の内容が異なるケース

求人票に記載した条件と、労働条件通知書の内容が異なる場合は、変更理由や確定条件を本人に丁寧に説明する必要があります。たとえば、求人票では「月給25万円」と記載していたのに、通知書では固定残業代を含む金額になっている場合、賃金の内訳を明示しないと誤解を招きます。勤務地や休日数、試用期間中の待遇が変わる場合も同様です。採用時には、求人票、面接メモ、内定通知、労働条件通知書を照合し、変更がある項目は本人の確認記録を残しておくと、後日の説明がしやすくなります。

固定残業代や手当の記載が不十分なケース

固定残業代を導入している会社では、基本給と固定残業代の区分、固定残業代に対応する時間数、超過分を別途支払うことを明確に記載することが重要です。たとえば「月給30万円、残業代含む」とだけ記載すると、どこまでが通常の賃金で、どこからが時間外労働の対価なのか判断しにくくなります。資格手当、役職手当、通勤手当なども、支給対象や計算方法が曖昧だと、入社後に認識が分かれることがあります。賃金欄は給与計算と直結するため、賃金規程と同じ用語を使い、支給条件を確認できる書き方にします。

固定残業代の導入や明示方法については、関連記事「【企業向け】固定残業代とは?正しい導入・計算方法・明示のポイントを徹底解説」で詳しく解説しています。

契約更新時に古い書式を使い続けるケース

有期契約労働者の契約更新では、過去に作成した書式をそのまま使い続けることで、最新の明示事項が抜けることがあります。特に、更新上限、無期転換申込機会、無期転換後の労働条件は、2024年4月以降の実務で確認が必要な項目です。更新時には、契約期間だけを差し替えるのではなく、通算契約期間、更新回数、更新基準、次回更新の見込みを確認します。対象者が多い会社では、契約満了日の一覧表を作成し、更新書類の作成時期と確認担当者を決めておくと、交付漏れや説明不足を防ぎやすくなります。

労働条件通知書を自社対応する範囲と社労士に相談すべき範囲

労働条件通知書は、基本項目であれば社内でも作成・更新できますが、雇用形態が多い会社や法改正対応が必要な会社では、専門的な確認が必要になる場面があります。判断の軸は、単に書式があるかどうかではなく、就業規則、賃金規程、実際の働き方と整合しているかです。この章では、自社で確認しやすい範囲と、社労士に相談したほうがよい範囲を整理します。

自社で確認しやすい基本項目

自社で確認しやすいのは、入社日、契約期間、勤務地、業務内容、所定労働時間、休日、賃金額、賃金支払日など、採用条件としてすでに確定している項目です。確認時は、求人票や内定通知と照合し、本人に説明した内容とずれがないかを見ます。たとえば、勤務地が複数ある会社では、雇入れ直後の勤務場所と将来変更される可能性のある範囲を分けて記載します。基本項目であっても、担当者が毎回手入力すると誤記が起きやすいため、雇用形態別のテンプレートとチェックリストを用意すると管理しやすくなります。

専門家の確認が必要になりやすい雇用形態

専門家の確認が必要になりやすいのは、有期契約労働者、短時間労働者、定年後再雇用者、固定残業代の対象者、職種限定・勤務地限定の社員などです。これらの雇用形態では、契約更新、無期転換、手当、労働時間制度、配置転換の範囲など、複数の制度が関係します。たとえば、有期契約労働者について更新上限を設ける場合、通知書の記載だけでなく、更新基準や説明方法も整える必要があります。書式だけを修正しても、就業規則や実際の運用と一致していなければ、更新時や条件変更時に説明が難しくなります。

雇用形態ごとの違いや変更時の手続きについては、関連記事「雇用形態とは?企業が押さえるべき種類・変更時の手続き・社会保険の対応まで詳しく解説!」もご確認ください。

社労士に相談して書式を整備するメリット

社労士に相談すると、労働条件通知書の記載内容だけでなく、就業規則、賃金規程、雇用契約書、入社手続きの流れまで一体的に確認できます。 社労士は、最新の法改正対応に加えて、各書類を企業側と労働者側の双方にとって分かりやすい表現に整え、担当者が継続して使える運用ルールづくりも支援できます。採用数が増えてきた会社や、雇用形態ごとの書式が混在している会社では、早めに相談することで管理負担を減らせます。

労働条件通知書について社労士に相談する

社労士を探す際には、全国7,000以上の事務所(全国の依頼可能な社労士の23%)の社労士が登録する、中小企業福祉事業団の「社労士ナビ」をご活用ください。この企業と社労士をつなぐ日本最大級のポータルサイトでは、地域や得意分野などを指定して社労士を探せるので、自社のニーズに合った社労士が簡単に見つかります。初回相談が無料の社労士も多いため、事務所のスタンスや人柄をしっかり見極めた上で依頼しましょう。

執筆者

中小企業福祉事業団 編集部

 
日本最大級の民間社労士団体として、社労士を介して中小企業を支援する活動を行っています。本サイト「社労士ナビ」は、課題を抱える中小企業が、課題を解決できる社労士を探して、巡り合えるように構築しました。「社労士ナビ」が中小企業の人事・労務課題を解決する一助になれば幸いです。

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