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更新日:2026 / 10 / 05
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ベテラン職員のマネジメントに悩む税理士法人で職場の風通しを改善した対応|社労士 村松 貴通の解決事例

<編集協力:社労士ナビ編集部>

解決した社労士

  • 社会保険労務士 村松 貴通 氏(社会保険労務士法人村松事務所/静岡県浜松市)

※本記事は、実際の対応事例をもとに、企業等が特定されないよう一部内容を調整しています。

この記事を読んで分かること

  • ベテラン職員の影響力が強い職場で起こりやすいマネジメント上の課題
  • 世代間の関係を改善するために、職員の声を把握することの重要性
  • 数字や成果だけでは捉えきれない、人を中心とした労務管理の考え方

ベテラン職員の影響が強い職場では、指導を強めるだけでは解決しにくい

世代や経験年数の異なる職員が働く職場では、表面上は「若手への指導が足りない」という問題に見えても、その背景に長年培われた働き方や職員同士の力関係があることがあります。
今回の税理士法人でも、2代目所長はベテラン職員の意見を聞きながら事務所改革を進めていました。しかし、思うような改善にはつながりませんでした。
私が重視したのは、数字や成果だけを見るのではなく、職員がどのような考えを持ち、どのような関係性の中で働いているのかを捉えることです。核となる職員から個別に意見を聞き、就業規則の見直しや説明会も行いながら、職場全体の関係性を見直していきました。

対象企業の情報

  • 所在都道府県:静岡県
  • 業種:税理士法人、コンサルティング会社
  • 従業員規模:約30名
  • 組織の特徴:先代との方針の違いや職員の労務管理に悩んでいる2代目所長

2代目所長がベテラン職員を指導しにくく、職場の風通しも悪化

この事務所は、創業者である先代所長が強いリーダーシップで経営してきました。一方、後を継いだ2代目所長は、職員をどのようにまとめていけばよいか悩んでいました。
職員の中には、2代目所長よりも年上で、勤務経験も長いベテランが何人かいました。そのため2代目所長から指導しにくく、実質的にはベテラン職員の方が強い立場になっている状況もありました。ベテラン職員とその他の職員との間でも風通しが悪くなっていました。
背景には、先代所長の時代から続く職場風土もありました。先代所長には昭和的な働き方に対する考えがあり、「長時間働いて成果を出すことが当たり前」という価値観がベテラン職員にも浸透していました。

2代目所長も、「最近の若い職員は考え方が甘いので、もっと指導した方がよい」というベテラン職員の意見を受けながら事務所改革を進めていました。しかし、思うような結果にはつながらず、かえって職員をまとめる難しさに直面していました。
先代所長からも、私に2代目所長の相談に乗り、指導してほしいという意向が伝えられていました。年齢には親子ほどの差がありましたが、同じ士業事務所の創業者ということもあり、私に対する信頼は厚かったように感じています。

職員の声を聞き、職場の関係性と就業規則の両面から見直す

この状況で必要だったのは、若い職員への指導をさらに強めることではありませんでした。まず、職場の中で実際に何が起きているのかを、職員それぞれの立場から捉える必要がありました。

核となる職員との個別面談で意見を聞く

私は、核となる何名かの職員と個別に面談し、それぞれの意見を聞きました。
2代目所長とベテラン職員、さらにその他の職員では、立場も経験も異なります。一方の見方だけで職場の問題を判断してしまえば、「誰をもっと指導するか」という話に偏りかねません。
職場を変えるには、表面に現れている言動だけではなく、その背景にある職員同士の関係や考え方まで見ることが重要です。

職員の意見を踏まえて就業規則を見直す

個別に職員の声を聞くだけで終わらせず、その意見も踏まえながら就業規則を見直し、職員への説明会も行いました。
制度だけを変更しても、そこで働く人が納得できなければ、実際の職場はなかなか変わりません。反対に、人間関係だけを調整しても、職場として共通のルールが曖昧なままでは、再び認識の違いが生まれる可能性があります。
今回の対応では、職員の声を聞くことと、就業規則という職場のルールを見直すことを組み合わせながら、職場全体のあり方を整理していきました。

ベテラン職員と若手職員の関係が改善し、職場の風通しも良くなった

対応を進める中で、ベテラン職員に根付いていた従来の働き方や若手職員に対する考え方についても見直しを促しました。
その結果、ベテラン職員と若手職員との関係性が改善し、事務所内の風通しも良くなりました。
今回の問題は、単に2代目所長のマネジメント方法だけに原因があったわけではありません。先代の時代から続いてきた職場風土や、ベテラン職員と若手職員の関係など、複数の要素が絡み合っていました。
だからこそ、誰か一人を強く指導するのではなく、職場全体を見ながら関係性とルールを整えていくことが必要でした。

数字だけでは人は動かない―人を中心に考える労務管理

税理士法人は、顧問先企業に数字や経営について助言する立場です。それでも、自らの事務所の人事・労務管理となれば、職員との関係に悩むことがあります。
私は、数字だけを見ていても会社は良くならず、昭和時代の根性論だけでも良くならないと考えています。
従業員には一人ひとり気持ちがあり、数字だけを見て仕事をしているわけではありません。「ヒト・モノ・カネ」といわれる経営資源の中でも、私はヒトが最も大切だと考えています。
働き方に対する価値観は、世代や経験によって違います。長く働いてきたベテラン職員の経験を否定すればよいわけでも、若い職員に一方的に従来の価値観を求めればよいわけでもありません。
人を管理するのではなく、人が働く組織をどうつくるかという視点で考えることが、労務管理では重要です。

よくある質問

ベテラン職員の影響力が強く、後継者が指導しにくい場合は、どこから見直すべきですか?

一方的に指導を強める前に、なぜ後継者が指導しにくい状態になっているのかを整理することが大切です。
今回の事例では、ベテラン職員の経験年数だけでなく、先代の時代から続く職場風土や、職員同士の関係も影響していました。核となる職員から個別に意見を聞くことで、表面上の問題だけでは分からなかった職場の状況を捉えていきました。

職場の世代間ギャップは、就業規則を見直せば改善できますか?

就業規則の見直しだけで、職員同士の関係が自動的に改善するとは限りません。
今回の事例では、職員の意見を聞いたうえで就業規則を見直し、説明会も行いました。ルールと人間関係を別々に考えるのではなく、職員がどのように働いているのかを見ながら両面から整えていくことがポイントになりました。

まとめ

職場の人間関係や世代間の価値観の違いが問題になったとき、誰かに原因を求めて指導を強めるだけでは、根本的な改善につながらないことがあります。
今回の税理士法人では、ベテラン職員の影響力や先代から続く職場風土まで含めて状況を捉え、職員の声を聞きながら就業規則や職場の関係性を見直しました。
数字や成果だけではなく、そこで働く「人」を見ること。 人事・労務の問題を考えるときには、この視点を忘れないことが大切です。

執筆者

村松 貴通

静岡県

社会保険労務士法人村松事務所
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