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就業規則
更新日:2025 / 11 / 21
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労働者が10人未満なら就業規則は必要ない?作成するメリットと届出までの流れ

就業規則は、「常時10人以上の労働者がいる事業場」で作成・届出が義務付けられています(労働基準法第89条)。
そのため、「労働者が10人未満なら就業規則は必要ない」と考えている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

しかし実際には、10人未満の事業場でも就業規則を作成する企業は少なくありません。

その理由は、労使トラブルの予防や社内ルールの統一、助成金申請に備えた体制づくりなど、実務面での利点があるためです。

本記事では、労働者10人未満の事業場が就業規則を整備する際のメリットとデメリット、作成の具体的な流れをわかりやすく解説します。

労働者が10人未満でも、就業規則を整備すべきか迷っている方は、ぜひ最後までご一読ください。

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就業規則の作成と届出の義務は「常時10人以上」の事業場

就業規則には、法律に基づく作成・届出義務が定められています。まずは、その義務の範囲を正しく理解しておきましょう。

「常時10人以上」とは?

労働基準法第89条では、「常時10人以上の労働者を使用する事業場」に対して、就業規則の作成および労働基準監督署への届出が義務付けられています。

ここでいう「常時10人以上」とは、一時的に10人以上になる場合ではなく、継続的に10人以上の労働者を雇用している状態を指します。

したがって、短期的な繁忙期だけ労働者が10人以上になるようなケースでは、就業規則の作成および届出の義務は発生しません。

なお、労働者が常時10人未満の事業場では就業規則の作成・届出は義務ではありません。しかしながら、労使間の認識違いやトラブルを防ぐためにも、就業規則を整備しておくことは非常に有効です。

就業規則の対象となる「労働者」の範囲

「常時10人以上の労働者」には、正社員だけでなく、パートタイム労働者や契約社員、アルバイトも含まれます。

派遣社員は派遣元との雇用契約となるため、派遣先企業の労働者数には含まれません。

雇用形態や勤務時間にかかわらず、企業と雇用契約を結び、賃金を受け取って働いている方はすべて「労働者」としてカウントされる点がポイントです。

就業規則は「事業場単位」で作成が必要

就業規則は、企業単位ではなく、「事業場単位」で作成し、届け出る必要があります。

また、就業規則の作成義務があるかどうかについても、事業場ごとの労働者数で判断します。

たとえば、本社が10人以上の労働者を常時雇用している場合、本社には就業規則の作成と届出の義務があります。一方で、支店や営業所の事業場で労働者が10人未満の場合は、支店や営業所にはそれぞれ作成義務は発生しません。

逆に、本社と支店でそれぞれ10人以上の労働者を常時雇用している場合には、事業場ごとで就業規則の作成義務が生じます。

なお、複数の支店・営業所が本社と同一内容の就業規則を使用している場合に限り、一定の要件を満たせば、本社所在地を管轄する労働基準監督署を通じて一括して届出を行うことも可能です。

労働者が10人未満でも就業規則には法的効力がある

労働者が10人未満の事業場では、就業規則の作成や届出は法律上の義務ではありません。

しかし、就業規則を作成し、労働者に周知すれば、その就業規則は法的効力を持つ文書として扱われます。

具体的に、就業規則に法的効力があると認められるためには、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 就業規則が法令や労働協約に反していないこと(労働基準法第92条、労働契約法第13条)
  • 掲示・配布などの方法によって、労働者に周知されていること(労働契約法第7条)

事業場が独自に就業規則を作成した場合でも、その内容が法令や労働協約に反していれば、その部分は無効とされ、法的効力は認められません。

そのため、就業規則を作成する際は、内容が法令に適合しているかを確認することが重要です。

また、個別の労働契約との関係では、労働契約の内容が、就業規則に比べて労働者に不利である場合は、その「労働契約」は無効となり、無効になった部分は就業規則の定めによります(労働契約法12条)。

必要に応じて、社労士など専門家のアドバイスを受けることも検討することをおすすめします。

労働者10人未満の事業場で就業規則を作成する3つのメリット

作成義務がないにもかかわらず、労働者10人未満の事業場で就業規則を整備している企業は少なくありません。

それは、就業規則を持つことで得られる実務上のメリットが大きいためです。

メリット1|労使トラブルを未然に防止できる

就業規則を整備しておくと、労働時間・休日・休暇・賃金・懲戒・退職など、労働条件や職場のルールを明確にすることができます。

これは、労働者の労働環境を守るだけではなく、労使間の認識のズレによるトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

たとえば、就業規則を作成すると以下のようなメリットがあります。

  • 残業代の支払い基準や時間外・休日労働の取扱いを明確にすることで、社内での労働時間に関する共通認識が保たれ、法令違反や是正勧告などのリスクを回避できます。
  • 年次有給休暇の取得ルールを定めておくことで、取得の可否や時期をめぐる労使間の不信感や不公平感を回避しやすくなります。
  • 遅刻・早退・欠勤、懲戒・解雇などに対する対応方針を明確にしておくことで、企業側の処遇の判断に対して「不当だ」と主張を受けるリスクを抑えられます。

このように、就業規則があれば、トラブル発生時にも企業側が一貫した対応が取りやすくなり、対応ミスや感情的な対立を避けることが可能です。

したがって、「労働者が10人未満だから就業規則は不要」と考えるのではなく、労働環境の整備に加え、企業のリスク管理と信頼性向上の観点からも、社内ルールを明確にしておくことが重要です。

メリット2|一貫した業務体制を築ける

就業規則に基づいて業務ルールを明確にしておくことで、担当者による対応のばらつきや属人化を防ぐことができます。

これにより、企業全体で一貫性のある労務管理や指導体制を整えやすくなり、業務の効率化やミスの防止にもつながります。

さらに、労働者にとってもルールが明確であることは安心感につながり、職場への信頼感や働きやすさの向上に寄与します。

結果として、定着率の向上や職場全体の安定性を高める要因にもなるため、経営面から見ても大きなメリットといえるでしょう。

メリット3|活用できる助成金の選択肢が広がる

厚生労働省が実施する雇用関係の助成金の中には、「就業規則の整備」や「制度の明文化」が申請要件となっているものがあります。

代表的なものとしては、以下のような助成金が挙げられます。

これらの助成金は、申請時に就業規則の提出を求められることがあり、慌てて就業規則を整備しようとしても、要件を満たせない場合があります。

活用できる助成金の選択肢を広げるためにも、あらかじめ就業規則を整備しておくと安心です。

労働者が10人未満の場合に就業規則を作成するデメリット

一方で、就業規則の作成には一定のコストや手間がかかります。就業規則を作成する前に、デメリットや注意点についても確認しておきましょう。

デメリット1|法令と実態に基づいて正確に作成する必要がある

就業規則は労働基準法や労働協約に準拠して作成することが前提です。また、記載された内容は実際の労働条件や業務内容と一致していなければなりません。

たとえば、インターネットで入手した雛形をそのまま使うだけでは不十分なケースも多く、自社の実態と合っていない内容で混乱を招いたり、労使トラブルの原因になったりするケースもあります。

そのため、就業規則の作成にあたっては、法的知識と自社の労務実態の正確な把握が不可欠です。

専門家である社労士と連携して、正確に就業規則の作成を進めましょう。

デメリット2|作成に時間と労力がかかる

就業規則を整備するには、まず自社の労働条件や制度を正確に把握し、整理する作業が欠かせません。

加えて、文言の検討・社内での確認・労働者への周知など、準備から運用開始までには一定の時間と手間がかかるのが実情です。

「とりあえず作ってみる」といった場当たり的な対応では、後から内容の見直しや修正が必要になる可能性もあります。

そのため、就業規則の作成は、あらかじめ計画的に進めることが重要です。

デメリット3|事業の自由度が制限される場合がある

就業規則でルールを明確にすることで、事業の変更や制度の見直しに制約が出る可能性があります。

たとえば、勤務時間や給与体系などを変更したい場合でも、すでに就業規則で定めている内容があれば慎重な対応が必要になります。

特に、労働者にとって不利益となる変更を行う際には、変更の「合理性」が求められ、内容を労働者に周知しなければ法的効力を持ちません(労働契約法第10条・7条)。

このように、制度の見直しや経営判断に柔軟に対応しづらくなる点は、小規模事業にとって障壁となることもあります。

そのため、就業規則を作成する際は、社労士などと連携して変更の余地や柔軟な運用が可能となる表現を取り入れ、将来的な見直しにも対応しやすい設計にしておくことが重要です。

労働者10人未満での就業規則の作成・届出の流れ

就業規則を作成して届け出る場合、以下のステップで行うのが一般的です。

1.就業規則の原案を作成する

まずは、自社の労働条件や制度を洗い出し、実態に沿った規定の原案を作成します。

就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければいけない「絶対的必要記載事項」と、事業場で定めがある場合に記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります(労働基準法第89条)。

それぞれの内容は、以下のとおりです。

絶対的必要事項 相対的必要事項
①労働時間に関する事項
(始業・終業時刻、休憩時間、休日・休暇、交替制の場合には就業時転換に関する事項)

②賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切・支払の時期、昇給に関する事項
③退職に関する事項
(解雇の事由を含む)
① 退職手当に関する事項
② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
③ 食費、作業用品などの負担に関する事項
④ 安全衛生に関する事項
⑤ 職業訓練に関する事項
⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑦ 表彰、制裁に関する事項
⑧ その他全労働者に適用される事項

参考:就業規則を作成しましょう|厚生労働省

これらの項目は、法令や労働協約の内容に基づいて明文化しておくことが重要です。

たとえば、「有給休暇の付与日数」「休憩時間」「定年制度」「懲戒処分」などの取扱いをあらかじめルール化しておくことで、曖昧さをなくし労使間のトラブルを未然に防ぐことができます。

なお、厚生労働省の資料やテンプレートを参考にしながら作成することもできますが、実態に合わない規定が含まれないように注意が必要です。

必要に応じて、社労士などの専門家に確認・相談しながら進めると安心です。

2.労働者代表からの意見聴取・意見書の作成

就業規則の原案ができたら、労働者代表の意見を聴取し、「意見書」を作成する必要があります労働基準法第90条)。

労働者代表とは、次のいずれかです。

【労働者代表の選出方法】

  1. 労働者の過半数で組織する労働組合
  2. 上記がない場合は、労働者の過半数を代表する者

過半数代表者を選出する際は、以下の要件を満たす必要があります(労働基準法施行規則第6条の2)。

【過半数代表者の選出方法】

  • 管理監督者でないこと
  • 使用者が手続を明示したうえで、投票や挙手などで適正に選出された者
    ※使用者が一方的に代表者を指名することは認められていません。

労働者代表からの意見聴取後は、労働者代表の意見を記載し、記名または署名入りの「意見書」を作成します。

労働者代表からの意見書がなければ、労働基準監督署への届け出ができないため必ず準備が必要です。

3.労働基準監督署への届出(任意)

完成した就業規則は、所轄の労働基準監督署へ届出を行いましょう。

労働者10人未満の事業場に対して、就業規則の届出の義務はありませんが、今後10人以上になることを想定して必要に応じて届出を行うことも可能です。

届出の提出書類は以下のとおりです。

4.労働者への周知

作成した就業規則は、事業場に掲示するなどして労働者に周知することが義務づけられています(労働基準法第106条)。

これは、労働者から要求されたときに就業規則を見せるなど、労働者が必要な時に簡単に就業規則を確認できる方法で周知する必要があります。

【主な周知方法】

  1. 事業場内の見やすい場所への掲示
  2. 書面での配布
  3. 電子メールや社内システムでの共有(常時確認可能な状態)

労働者に対して周知されていない場合には、就業規則には法的効力が認められないため、積極的な周知を心がけることが重要です。

まとめ|労働者10人未満でも就業規則の整備をしておくと安心です

本記事では、労働者10人未満の事業場における就業規則の作成義務の有無、作成するメリット・デメリット、作成の流れについて解説しました。

法的義務はないものの、就業規則を整えておくことは、労使トラブルの予防や一貫した労務管理体制の構築、助成金の活用といった実務面でのメリットがあります。

一方で、就業規則は法令との整合性や実態との一致が求められるため、多くの企業が自社だけで対応するのは難しいと感じているのが実情です。

安心で確実な就業規則の作成を行うには、人事・労務の専門家である社労士と連携することが有効な選択肢の一つといえます。

就業規則の作成について社労士に相談する

社労士を探す際には、全国6,000以上の事務所(全国の依頼可能な社労士の20%)の社労士が登録する、中小企業福祉事業団の「社労士ナビ」をご活用ください。
この企業と社労士をつなぐ日本最大級のポータルサイトでは、地域や得意分野などを指定して社労士を探せるので、自社のニーズに合った社労士が簡単に見つかります。

初回相談が無料の社労士も多いため、事務所のスタンスや人柄をしっかり見極めた上で依頼しましょう。

執筆者

中小企業福祉事業団 編集部

 
日本最大級の民間社労士団体として、社労士を介して中小企業を支援する活動を行っています。本サイト「社労士ナビ」は、課題を抱える中小企業が、課題を解決できる社労士を探して、巡り合えるように構築しました。「社労士ナビ」が中小企業の人事・労務課題を解決する一助になれば幸いです。

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