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更新日:2026 / 03 / 16
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パート・アルバイトの育休とは?取得の条件や復職までの流れ、注意点も解説

パートやアルバイトから「育休は取れますか?」と相談されたとき、制度の内容が曖昧なままだと、会社側も本人も不安を抱えたまま手続きを進めることになりがちです。

「パートは育休の対象外では?」「契約期間が短いと取れないのでは?」といった誤解は今でも多く、結果として、本来は取得できるはずの人が育休を諦めてしまうケースも少なくありません。一方で、育休の取り扱いを誤ると、従業員とのトラブルにつながったり、法令違反と判断されたりするリスクもあります。

実際には、現在の制度では、一定の条件を満たせばパート・アルバイトでも育休を取得できます。雇用形態だけで一律に判断するのではなく、契約期間や就業規則、労使協定の内容を踏まえて、正しく対応することが重要です。

本記事では、パート・アルバイトが育休を取得できる条件をわかりやすく整理したうえで、申出から復職までの流れ、企業側が押さえておきたい注意点まで解説します。中小企業の経営者や人事担当者の方が、現場で迷わず対応できるようにまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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パート・アルバイトも育休は取得できる

育児休業(育休)は、正社員だけの制度ではありません。パートやアルバイトであっても、一定の条件を満たせば育休を取得できます。

「非正規雇用だから育休は取れない」「妊娠したら辞めるしかない」と思い込んでいる方もいますが、現在は法律の整備が進み、雇用形態にかかわらず育休を利用できる仕組みが整っています。会社側としても、正社員だけでなく、パート・アルバイトからの申出にも適切に対応できるよう、準備しておくことが重要です。

ただし、パート・アルバイトの場合は、正社員と同じように判断できるわけではありません。特に注意が必要なのは、1週間の労働日数や、雇用契約の期間(更新の見込み)、会社が締結している労使協定の内容です。これらによって、育休の対象になるかどうかが判断されます。

そのため、育休対応では「雇用形態」で決めるのではなく、契約条件や社内ルールを踏まえて、取得の可否を正しく確認することが欠かせません。

産休と育休の違い

産前・産後休業(産休)と育児休業(育休)の大きな違いは、取得に必要な条件の有無です。

産休は、出産する本人が申し出れば取得できる制度です。産前休業は、出産予定の女性が請求した場合、会社は拒否できません。また、産後休業は、出産後8週間は原則として就業させてはならないと、労働基準法第65条で定められています。

一方、育休は誰でも必ず取得できるわけではなく、雇用形態によって要件が異なります。例えば、日雇いのようにその日ごとに雇われる人は対象外です。また、パートやアルバイトなどの有期雇用の場合は、契約がいつまで続くのか、会社と労働者の間で結ばれている取り決め(労使協定)の内容によっては、育休を取得できないケースもあります。

参考:e-Gov法令検索「労働基準法」

産休とは

産休とは「産前産後休業」のことで、出産前後に体を休めるための休業制度です。

産前休業は、出産予定日を含めて6週間前から取得できます。双子や三つ子などの多胎妊娠の場合は、より体への負担が大きいため、14週間前から取得が可能です。産前休業は、必ず取らなければならないものではなく、本人が希望して会社に請求した場合に取得できます。

一方、産後休業は、原則として出産後8週間は就業できません。ただし、出産後6週間を過ぎ、医師が「支障がない」と認めた業務については、本人の希望により就業できる場合があります。なお、産休を取得できるのは出産する女性のみで、労働基準法で権利が定められています。

参考:労働基準監督署「期間雇用者も産休・育休の対象になります!」

育休とは

育休とは「育児休業」のことで、出産後に子どもの世話をするために仕事を休める制度です。産休は出産する女性だけが対象ですが、育休は男性・女性どちらでも取得できます。

育休を取得できる期間は、原則として子どもが1歳になる前日までです。ただし、保育園に入れないなどやむを得ない事情がある場合は、最長で2歳まで延長できる場合があります。

また、夫婦で育休を取る場合には、一定の条件を満たせば、子どもが1歳2か月になるまでの間、2人とも育休を取得できる仕組みもあります(いわゆる「パパ・ママ育休プラス」)。育休のルールは、育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)で定められています。

産後パパ育休とは

産後パパ育休とは、子どもの出生後8週間以内に、合計4週間(28日)まで取得できる休業制度です。通常の育児休業(原則1歳まで)とは別の制度なので、育休とは別枠で取得できるのが特徴です。また、2回に分けて取得することも可能です。

さらに、会社と労働者の間で結ばれている取り決め(労使協定)の内容によっては、産後パパ育休中でも、本人が希望すれば一定の条件のもとで働ける場合があります。

この制度は、男性が出産直後から育児に関わりやすくする目的で設けられているため、主な対象は男性です。ただし、養子縁組などの事情で産休を取得していない場合には、女性でも利用できます。

参考:厚生労働省「産後パパ育休|育児休業制度特設サイト」

パパ・ママ育休プラスとは

パパ・ママ育休プラスとは、両親がともに育休を取得し、一定の要件を満たす場合に、育休の対象となる子どもの年齢が、原則1歳までから原則1歳2か月までに延長される特例制度です。この場合において取得できる期間は、1年間(女性は出生日以後の産前・産後休業期間とあわせて1年間)です。

母親と父親のどちらが先に育休を取るかによって、子どもが1歳2か月になるまで育休を取得できる者が決まります。

例えば、母親が産後休業に続いて育休を取得している場合には、父親が子どもの1歳2か月までの育休を取得できることになります。なお、この場合、父親も子どもが1歳になるまでに育休を開始することが必要です。

参考:厚生労働省「パパ・ママ育休プラス-育児休業制度」

パート・アルバイトが育休を取得する条件

パートやアルバイトでも育休を取得できる可能性はありますが、正社員と比べると、確認すべきポイントが増えます。特に重要なのは、雇用契約の期間です。

パート・アルバイトなどの有期雇用の場合、育休を申し出ても、契約の満了時期によっては育休を取得できないケースがあります。つまり、育休を取得する前提として「一定期間、雇用が続く見込みがあるか」がポイントになります。

また、会社が労働組合などと「労使協定」を結んでいる場合は、雇用期間や1週間の勤務日数などの条件によって、育休の対象外となる人が定められていることもあります。そのため、パート・アルバイトの方は、まず自分の契約内容と、会社の取り決め(労使協定の有無)を確認しておくことが大切です。

育休の取得要件

パートやアルバイトなどの有期雇用で働く人が育休を取得する場合は、正社員と違い、雇用契約の期間が重要なポイントになります。

まず、次のケースに当てはまる場合は、育休を取得できません。

  • 子どもが1歳6か月(再延長する場合は 2歳)になる日までに労働契約が終了し、その後に更新されないことがはっきりしている場合

つまり、「育休中に契約が終わり、更新もされない」とわかっている場合は、育休の対象外になります。また、会社が労働組合などと労使協定を結んでいる場合は、次の条件に当てはまる人を育休の対象外とする取り決めがされていることがあります。

  • 継続して働いた期間が1年未満
  • 育休の申出日から1年以内に雇用契約が終了する
  • 1週間の所定労働日数が2日以下

以下に、取得できる期間のイメージ(例:出産日が2026年1月6日の場合)をまとめました。

  • 女性:産後休業が終わった後(2026年3月4日から)、子どもが1歳になる前日まで
  • 男性:子どもの出生後(2026年1月6日から)、子どもが1歳になる前日まで

このように、育休は男女とも取得できますが、パート・アルバイトの場合は「契約期間」と「労使協定」が大きく影響するため、事前確認が欠かせません。

パート・アルバイトが育休を取って復職するまでの流れ

本章では、パート・アルバイトの方が育休を取得し、職場に戻るまでの基本的な流れを整理します。

①育休を取得できる条件を確認する(会社側)

まず会社側は、パート・アルバイトから育休の相談や申し出があったときにすぐ対応できるよう、育休の対象者や必要な手続きを把握しておく必要があります。誰が対象になるのか、どの書類が必要なのかなどを事前に整理しておくことで、申請をスムーズに進められます。

②就業規則(会社のルール)を確認する(パート・アルバイト)

パート・アルバイトの方も、自分が育休の対象になるかどうかを確認するために、会社の就業規則を見ておきましょう。会社によっては、労使協定により育休の対象外となる条件が定められていることもあります。育休を申し出る前に、必ず社内ルールを確認することが大切です。

③育休を会社に申し出る(パート・アルバイト)

育休を取得する場合は、育児・介護休業法第6条第3項で申出の期限が決まっています。原則として、育休を開始したい日の1か月前までに会社へ申し出る必要があります。期限までに「育児休業申出書」を提出し、手続きを進めましょう。

参考:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」

④育休の申出を受け付け、内容を説明する(会社側)

従業員から育児休業申出書が提出されたら、会社はまず「申出を受理したこと」を伝え、あわせて育休の開始予定日・終了予定日を説明します。

なお、育休の申出が法律(育児・介護休業法)上の条件を満たしている場合、会社は原則としてこれを拒否できません。申出があった時点で、速やかに社内手続きを進める必要があります。

⑤育児休業給付金の申請と社会保険料の免除手続き(会社側)

育休に入る際は、会社側で次の2つの手続きを進めます。

  • 育児休業給付金の申請
  • 社会保険料の免除手続き

育児休業給付金は、育休中の生活を支えるために支給されるお金で、手続きは会社がハローワークで行います。申請に必要な書類は、主に次のとおりです。

  • 育児休業給付受給資格確認票
  • (初回)育児休業給付金支給申請書
  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 母子健康手帳の写し
  • 賃金台帳・出勤簿など

なお、2025年4月から「出生後休業支援給付金」が始まっています。該当する場合は、専用の申請書もあわせて提出します(申請書は(初回)育児休業給付金支給申請書と一体になっています)。また、育休期間中は、健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。そのため、会社は年金事務所に「育児休業等取得者申出書」を提出し、免除の手続きを行います。

⑥復職後の手続き(会社側)

従業員が職場に戻った後は、会社側で社会保険料の免除を終了する手続きが必要です。具体的には、年金事務所に以下の書類を提出します。

  • 健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届

また、復職後に短時間勤務などを利用し、育休前より給与が下がる場合は、次の手続きも行うことがあります。

  • 健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届
  • 厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書

復職後の働き方によって必要書類が変わるため、会社としては状況を確認しながら、漏れなく対応することが大切です。

パート・アルバイトの育休対応で会社が注意すべき点

パート・アルバイトが育休を取る場合、会社側にも準備すべきことがあります。具体的には、就業規則での取り扱いを明確にすること、給付金などの申請手続きを進めること、そして育休を取りやすい職場環境を整えることです。

ここからは、それぞれのポイントを順番にわかりやすく解説します。

就業規則に育休の取り扱いを明記しているか

育児休業は、就業規則の中でも特に重要な項目である「休暇」と「賃金」に関わる制度です。労働基準法で、これらの項目を就業規則で必ず定めなければならないこととされています。そのため、会社は就業規則に育休のルールをきちんと明記しておく必要があります。

休暇としての育休については、少なくとも次の内容を定めておきましょう。

  • どの従業員が育休の対象になるのか(付与要件・対象者の範囲)
  • 申請に必要な手続き(申出方法・期限など)
  • 取得できる期間

また、育休中の賃金についても、ルールをはっきりさせておくことが大切です。具体的には、次の点を就業規則に記載します。

  • 育休中に給与を支払うのか、支払わないのか
  • 育休中に通常と異なる給与を支払う場合、その計算方法と支払い方法

就業規則に記載がないまま育休対応をすると、従業員との認識のズレやトラブルにつながりやすいため、事前に整備しておくことが重要です。

給付金や社会保険の手続きを行う

従業員から育休の申出があった場合、会社側は給付金や社会保険に関する手続きを進める必要があります。

まず、育休期間中の社会保険料を免除するために、会社は年金事務所または事務センターへ「育児休業等取得者申出書」を提出します。

また、育児休業給付金については、初回の申請期限が決まっています。基本的には、従業員が育休を開始してから4か月が経過する日の属する月の末日までに手続きを行う必要があります。

雇用環境の整備

従業員が育休を申し出やすく、安心して取得できるようにするために、会社は育児休業に関して一定の職場づくり(雇用環境の整備)を行う必要があります。

具体的には、次のうちいずれかの取り組みを実施しなければなりません。

  • 育休に関する研修を行う
  • 相談できる窓口や担当者を決める
  • 育休の取得事例を、社内に共有する
  • 制度の内容や、会社としての取得促進方針を周知する

また、育休の申出や復職がスムーズに進むように、会社には努力義務として、次のような対応も求められています。

  • 育休中の代替要員の配置や業務の調整
  • 復職後の業務に備えた能力開発や教育の支援

育休制度は「取れるかどうか」だけでなく、「取りやすい雰囲気があるかどうか」も重要です。制度があっても、現場が回らない状態では、従業員が申し出をためらってしまいます。

ハラスメントを防ぐ

妊娠・出産・育児に関するハラスメントや不利益な扱いは、あってはならないものです。法律でも、会社に対して防止措置を講じることが義務として定められています。

防止策として特に重要なのは、次の3点です。

  • ハラスメントを許さない方針を社内に周知し、啓発する
  • 苦情や相談を受け付ける窓口を設ける
  • 問題が起きた場合に、速やかに事実確認し、適切に対応する

育休は、従業員の人生に関わる大切な制度です。会社としては、制度面の整備だけでなく、安心して利用できる職場環境づくりにも取り組む必要があります。

参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)」

パート・アルバイトの育休中・育休明けに注意したい雇用契約のポイント



パート・アルバイトが育休を申し出たり、実際に育休を取得したりしたことを理由に、会社が不利な扱いをすることは、育児・介護休業法第10条で禁止
されています。

ここで注意したいのは、「解雇だけが問題になるわけではない」という点です。例えば、次のような対応も不利益な取り扱いに当たる可能性があります。

  • 有期契約を更新しない(いわゆる雇止め)
  • 更新できる回数を意図的に減らす
  • 本人が望まない業務へ一方的に変更する
  • 育休ではなく短時間勤務にするよう強く迫る

育休制度は、出産や育児を理由に働き続けることを諦めなくて済むように設けられた仕組みです。その趣旨を踏まえずに対応すると、従業員とのトラブルにつながるだけでなく、会社として法的リスクを抱えることになります。

育休中や復職後の雇用契約を検討する際は、「業務上の必要性」と「従業員に生じる不利益」のバランスを整理し、慎重に判断することが重要です。

パート・アルバイトの育休手続きで役立つテンプレート

産休・育休や短時間勤務に関する手続きは、基本的に会社側が進めることになります。申請を正しく行うには、制度を利用する従業員の情報を正確に確認し、必要事項を漏れなく書類に反映させることが欠かせません。

そこで役立つのが、厚生労働省が公開している申請書のひな形・テンプレートです。あらかじめ必要項目が整理されているため、書き漏れや記入ミスを防ぎやすく、手続きをスムーズに進められます。状況に応じて活用するとよいでしょう。

参考:厚生労働省「社内様式例」

まとめ:パート・アルバイトの育休対応で人材を守り定着につなげよう

育休は、「正社員ではないから取れない」という制度ではありません。一定の条件を満たせば有期雇用であるパート・アルバイトも育休を取得できる仕組みが整っており、中小企業でも正しく対応することが求められます。

一方で、パート・アルバイトの場合は、雇用契約の期間や更新見込み、労使協定の内容によって、取得できるかどうかが左右される点が大きな特徴です。会社側が制度を理解しないまま対応すると、「実は取得できたはずなのに、対象外とされた」「説明不足でトラブルになった」といった問題が起きやすくなります。

企業としては、就業規則に育休のルールを明記し、給付金や社会保険の手続きを期限どおりに進めることが基本です。さらに、相談体制の整備や研修、取得事例の共有など、育休を申し出やすい職場環境をつくることも欠かせません。妊娠・出産・育児に関するハラスメント防止や、不利益な取扱いをしない姿勢を明確にすることも重要です。

パート・アルバイトの育休対応は、単なる手続きではなく、人材を守り、定着につなげるための取り組みでもあります。制度を正しく理解し、準備を整えることで、従業員が安心して働き続けられる職場づくりにつなげましょう。

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初回相談が無料の社労士も多いため、事務所のスタンスや人柄をしっかり見極めた上で依頼しましょう。

執筆者

中小企業福祉事業団 編集部

 
日本最大級の民間社労士団体として、社労士を介して中小企業を支援する活動を行っています。本サイト「社労士ナビ」は、課題を抱える中小企業が、課題を解決できる社労士を探して、巡り合えるように構築しました。「社労士ナビ」が中小企業の人事・労務課題を解決する一助になれば幸いです。

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