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人事・労務
更新日:2026 / 09 / 04
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早期退職とは?メリットや退職金、企業の注意点を解説

早期退職制度の導入を検討しているものの、「希望退職とは何が違うのか」「退職金はどう設計すればよいのか」「従業員とのトラブルを防ぐには何に注意すべきか」と悩む経営者・人事労務担当者もいるでしょう。本記事では、早期退職の仕組みや企業・従業員双方のメリット、退職金、実施手順、労務管理上の注意点をわかりやすく解説します。

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早期退職とは?通常の退職や希望退職との違い

早期退職とは、定年を迎える前に従業員が退職することです。企業が制度として設ける場合には、一定の年齢や勤続年数などを対象条件とし、退職金の割増や再就職支援といった優遇措置を設けるケースがあります。企業が制度を検討する際は、名称だけで判断せず、恒常的な制度なのか、一時的な募集なのかなどを整理することが大切です。

早期退職制度の基本的な仕組み

早期退職制度は、企業が定めた条件を満たす従業員について、定年前の退職を選択できるようにする仕組みです。一般的には、就業規則や退職金規程などで対象年齢・勤続年数・申請方法・退職時期・優遇措置などを定めます。

たとえば、一定の年齢以上かつ一定の勤続年数を満たす従業員を対象に、通常の自己都合退職より退職金を上乗せする制度が考えられます。企業によって制度の内容は異なるため、導入時には対象者と適用条件を具体化し、従業員が自ら判断できるよう制度の内容を明確にしておく必要があります。

早期退職と希望退職の違い

早期退職制度と希望退職は、いずれも従業員の応募を前提としますが、実施目的や募集方法に違いがあります。早期退職制度は、従業員のキャリア選択を支援する目的などから、人事制度として設けられることが一般的です。

一方、希望退職は、経営環境や事業構造の変化などを背景として、対象者や募集人数、募集期間を定めて一時的に実施されるのが一般的です。ただし、名称だけで一律に区別されるものではありません。企業は制度の内容や実施目的、退職条件を踏まえて取り扱いを整理することが求められます。

関連記事:希望退職制度について詳しく知りたい方は、「希望退職制度とは?企業が導入するメリット・デメリットと条件設計ポイント」も参考にしてください。

早期退職と退職勧奨・解雇の違い

早期退職制度は、従業員本人が制度の利用を検討し、自らの意思で応募する形が基本となります。これに対して退職勧奨は、企業が個別の従業員に退職を勧め、合意による退職を求めるものです。解雇は、企業が従業員の意思によらず一方的に労働契約を終了させる点でさらに性質が異なります。

実務では、この違いを踏まえた制度の運用が欠かせません。たとえば、早期退職に応募しない従業員に対して繰り返し退職を迫るなど、本人の自由な意思決定を妨げる対応はトラブルにつながる可能性があります。募集時の説明方法や面談の進め方を含めて、早期退職制度と退職勧奨を区別して運用する必要があります。

参考:労働契約の終了や退職勧奨に関する基本的な考え方については、厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」も参考にしてください。

早期退職制度を企業が導入・実施する目的

早期退職制度を導入する目的は、従業員数を減らすことではありません。従業員のキャリア選択を支援する制度として設ける場合もあれば、組織構成の見直しや事業環境の変化への対応を目的とする場合もあります。目的によって対象者や優遇措置、実施時期などの制度設計は変わるため、企業は「なぜ実施するのか」を明確にしたうえで具体的な条件を検討することが重要です。

従業員のキャリア形成や転職・独立を支援する

早期退職制度は、定年まで同じ企業で働くことだけを前提とせず、従業員が新たなキャリアを選択する機会を設ける目的で導入されることがあります。たとえば、一定の年齢や勤続年数に達した従業員が、転職や独立などを検討するタイミングで利用できる制度とする方法です。

企業がキャリア支援を目的とする場合は、退職金の優遇だけでなく、再就職支援やキャリア相談などを組み合わせることも考えられます。制度を利用するかどうかは従業員の生活設計にも関わるため、対象条件や利用できる支援内容を具体的に示し、本人が十分な情報をもとに判断できる環境を整えることが求められます。

組織の年齢・人員構成を見直す

企業では、事業の成長や従業員の勤続年数の長期化などによって、特定の年齢層や職位に人員が集中することがあります。このような状況で早期退職制度を人事施策の一つとして活用し、中長期的な組織構成を見直すケースがあります。

ただし、年齢だけを基準として退職を促すことは避け、制度を設ける目的と対象条件の合理性を整理する必要があります。また、退職者が生じた後の配置転換や後任者の育成まで検討しておかなければ、特定の部署で人材が不足する可能性があります。現在の人員構成だけでなく、将来の人員構成や必要となる職種やスキルも踏まえて制度設計を検討する必要があります。

経営環境の変化に合わせて人員配置を最適化する

事業の再編やデジタル化、新規事業への進出などにより、企業に必要な職種や人材構成が変化することがあります。このような場合、早期退職制度と配置転換・人材育成・採用などを組み合わせ、人員の配置を見直すことが考えられます。

たとえば、縮小する事業と成長分野が併存している企業では、退職者数だけを目標にすると、今後も必要な知識や経験を持つ従業員まで流出するおそれがあります。そのため、部署別の人員数だけではなく、保有スキルや後継者の有無、今後の事業計画を確認したうえで、早期退職を実施する必要性や対象範囲を判断することがポイントです。

早期退職制度を設ける企業側のメリット

早期退職制度を設けることで、企業は将来の人件費や人員構成を見据えた組織づくりを進めやすくなります。ただし、退職者が増えることは必ずしも経営上のメリットになるわけではありません。制度の効果を判断するには、短期的な人件費だけでなく、中長期の人件費、必要な人材・スキル、退職後の人員配置などを総合的に考える必要があります。

中長期的な人件費の適正化につながる

早期退職制度によって社内の人員構成が変われば、中長期的な人件費を見直す機会になります。特に、年齢や勤続年数などに応じて賃金が上昇する制度を採用している企業では、今後の人件費を予測したうえで制度の効果を検討できます。

一方、制度導入にあたり退職金の割増や再就職支援などを設ければ、実施年度には一定の費用が発生します。さらに、退職者の業務を補うために新規採用や外部委託が必要になるケースもあります。そのため、単純に退職者の給与額だけを人件費の削減効果として見込むのではなく、退職金割増などの優遇措置に要する費用や対象従業員の退職後に必要となるコストを含めて比較検討することがポイントです。

組織の新陳代謝や人材配置を促進できる

早期退職制度の導入を契機として、従来の組織体制や人材配置を見直すことができることもメリットの一つです。退職によって担当者が変わる場合には、後任者への権限移譲や技術継承、若手・中堅従業員の登用、新しい役割への配置などを検討する機会になります。

ただし、早期退職により空いたポストをそのまま補充するだけでは、人材配置の見直しにはつながりにくいでしょう。各部署の業務量、必要な職務、従業員が持つスキルを確認し、配置転換や育成、新規採用の必要性を判断することが実務上のポイントです。退職後の組織図まで想定しておけば、制度実施後の人員配置を具体化しやすくなります。

従業員の意思を尊重した人員構成の見直しができる

早期退職制度では、企業が一方的に雇用を終了させるのではなく、条件を提示したうえで、従業員が応募するかどうかを判断する形をとります。従業員にとっても、提示された条件と今後のキャリアや生活設計を比較して退職を検討できる点が特徴です。

企業側は、早期退職制度の募集人数の達成を目的にするのではなく、従業員が応募を判断するための情報と検討期間を十分に確保する必要があります。対象者、退職日、退職金などの条件を文書で示し、問い合わせ窓口を設けるなど、従業員に制度の十分な理解を促すことで、制度を利用する側と企業側の認識のずれを抑えやすくなります。

早期退職制度が従業員側に与えるメリット

早期退職制度は企業の人事施策である一方、従業員にとっても今後の働き方や生活設計を見直す選択肢になります。企業によっては通常の退職より有利な条件が設定され、次のキャリアに向けた支援を受けられる場合もあります。ただし、実際のメリットは年齢や収入、家族構成、再就職の見通しなどによって異なるため、提示された条件だけでなく退職後の生活まで含めて判断する視点が必要です。

退職金割増などの優遇措置を受けられる場合がある

企業が早期退職を募集する際には、応募を検討する従業員に対して、通常の退職金に一定額を加算するなどの優遇措置を設けることがあります。具体的な金額や算定方法は企業ごとに異なり、対象年齢や勤続年数などによって条件を分けるケースもあります。

従業員が早期退職への応募を検討する際は、退職金の割増額だけを見るのではなく、退職金規程に基づく通常の支給額、退職予定日、賞与などの取り扱いも確認することが大切です。企業側は、誰にどの条件が適用されるのかを明文化し、従業員が受け取れる退職金の金額や適用条件について誤解が生じないよう説明する必要があります。

転職や独立など次のキャリアを検討できる

早期退職を選択することで、従業員は定年前の段階で転職や独立、学び直しなど、新しいキャリアへ移行する機会を持てます。これまでの経験や専門性を生かして別の企業へ転職するほか、新たな分野に挑戦するといった選択肢も考えられます。

ただし、希望する時期に再就職できるとは限らないため、退職後の収入や生活費を含めた検討が欠かせません。企業が制度を案内する際も、「退職すれば有利な転職ができる」といった将来を断定する説明は避ける必要があります。従業員が自身の状況を踏まえて判断できるよう、応募期限や撤回の取り扱いなども事前に示しておくことが望まれます。

再就職支援を利用できる場合がある

企業によっては、早期退職の条件として再就職支援サービスなどを準備することがあります。たとえば、外部の専門事業者を通じて、キャリアの棚卸し、応募書類の作成支援、求人情報の提供などを受けられる仕組みです。退職金とは異なり、次の就業に向けた準備を直接支援できる点が特徴です。

企業が再就職支援を設ける場合は、利用できる対象者や期間、サービス内容、費用負担などを募集要項で具体的に示すとよいでしょう。また、支援サービスを利用すれば再就職が保証されるわけではありません。従業員が支援の範囲を正しく理解できるよう、提供内容と利用条件を明確にすることが求められます。

早期退職制度を導入する際のデメリットと注意点

早期退職制度を導入すると、人件費や人員構成を見直せる一方で、企業が想定していなかった人材の退職や、残った従業員への負担といったマイナスの影響が生じる可能性があります。特に、応募者を企業側で完全にコントロールできないため、募集数だけで効果を判断するのは適切ではありません。実施前に、退職後の組織運営まで想定してリスクを洗い出すことが必要です。

必要な人材まで退職する可能性がある

早期退職制度の対象を一定の年齢や勤続年数などで広く設定すると、企業が今後も活躍を期待している従業員が応募する場合があります。特に、専門知識を持つ人材や顧客との関係を担う人材、管理職などが退職すると、業務への影響が大きくなることがあります。

そのため、募集前には部署ごとの人員数だけでなく、重要業務の担当者、保有資格・スキル、後継者の育成状況などを確認しておくことがポイントです。また、企業による応募の承認を制度上の条件とする場合には、その基準や手続きをあらかじめ整理し、対象となる従業員に分かりやすく示しておく必要があります。

残った従業員の業務負担が増える場合がある

退職者が担当していた業務を整理しないまま人員だけが減ると、残った従業員に仕事が集中する可能性があります。たとえば、複数人が同時期に退職した部署では、一人当たりの担当業務が増えるほか、引き継ぎや後任者の教育も重なり、一時的に負担が大きくなることがあります。

企業は早期退職の募集数を決める段階で、退職後に廃止できる業務、効率化できる業務、継続しなければならない業務を整理するとよいでしょう。そのうえで、配置転換や採用、外部委託などの必要性を検討します。労働時間の増加が見込まれる部署については、時間外労働の状況や人員配置も継続的に把握することが必要です。

従業員の不安や組織への影響に配慮する必要がある

早期退職制度の導入が発表されると、対象者だけでなく、制度を利用しない従業員にも「今後さらに人員が減るのではないか」「自分の雇用や処遇はどうなるのか」といった不安が広がることがあります。情報が不足していると、憶測によって職場の雰囲気や就業意欲に影響する可能性もあります。

企業は、制度の目的、対象範囲、募集期間など、公表できる事項を整理して従業員に説明する必要があります。その際、個々の応募状況など取り扱いに配慮すべき情報は適切に管理します。制度終了後についても、新しい組織体制や業務分担を必要な範囲で共有し、残った従業員が今後の働き方を把握できる状態をつくることが求められます。

早期退職の退職金割増を設計するポイント

早期退職では、通常の退職金に加えて退職金を割り増すなど、退職条件を優遇するケースがあります。企業が条件を設計する際は、退職金の金額だけでなく、対象者や算定方法、支給時期などを明確にし、既存の退職金制度との整合性を確認することが必要です。また、再就職支援なども含め、制度の目的や従業員のニーズを踏まえて条件全体を検討することがポイントです。

通常の退職金との違いを明確にする

退職金制度がある企業では、まず既存の退職金規程に基づいて通常の退職時に支給される金額を確認し、そのうえで早期退職にどのような優遇措置を加えるのかを整理します。通常の退職金の額と割増額を分けて示すと、従業員も条件を比較しやすくなります。

参考:退職に伴う手続きや離職票の取り扱いについては、厚生労働省の雇用保険関係資料も確認するとよいでしょう。

関連記事:退職金制度そのものの設計や見直しについては、「自社に合う退職金制度は?設計の基本と計算方法を中小企業向けに解説」で詳しく解説しています。

退職金規程等においては、自己都合退職・会社都合退職などの区分によって算定方法が異なる場合があるため、現在の規定内容を確認することが欠かせません。募集要項には、退職金の算定基準や支給時期、早期退職によって追加される条件を具体的に記載し、従業員ごとに認識の違いが生じないようにします。

退職金割増の対象者と算定方法を決める

退職金割増を行う場合は、対象者や計算方法を事前に定めます。たとえば、「基本給の一定月数分を加算する」「勤続年数に応じた金額を加算する」などの設計が考えられます。

企業は早期退職制度の目的や財務上の負担を踏まえ、対象年齢、勤続年数、雇用区分などの条件と算定方法の整合性を確認します。さらに、応募者数によって必要な原資が変動するため、複数の応募者数のパターンを想定して総額を試算しておくことも実務上有効です。あらかじめ基準を明文化して一貫して運用できる設計にすることがポイントです。

再就職支援など金銭以外の条件も検討する

早期退職制度の条件は、退職金だけで設計する必要はありません。企業の方針に応じて、再就職支援サービスやキャリア相談など、退職後の就業を支援する施策を組み合わせることも選択肢になります。

具体的には、外部の再就職支援サービスを利用できる期間や対象者を設定し、募集要項で利用条件を示す方法があります。こうした支援を設ける場合は、退職金割増との選択制か併用できるか、申込期限はいつまでかといった条件も明確にします。従業員が退職金の金額面だけでなく、退職後のキャリアもあわせて検討できるよう、提供する支援の範囲を具体化しておくとよいでしょう。

早期退職の募集から退職までの進め方

早期退職制度を導入する際は、制度の条件を決めて募集するだけではなく、制度設計から従業員への説明、応募受付、退職手続きまで一連の流れを整える必要があります。手順や担当部署が曖昧なまま進めると、従業員によって説明内容や取り扱いが異なる原因になります。企業は実施スケジュールを作成し、各段階で必要な書類や責任者をあらかじめ決めたうえで募集を開始することが大切です。

対象者・募集期間・退職条件を決定する

最初に、早期退職制度の対象者、募集数、募集期間、退職日、退職金などの条件を具体化します。たとえば年齢や勤続年数を条件にする場合は、どの時点の年齢・勤続年数で判定するのかまで決めておくと、対象者を判断しやすくなります。

あわせて、応募者が募集数を上回った場合の取り扱いや、応募後の撤回を認めるかなども検討します。既存の就業規則や退職金規程との関係を確認し、制度の内容に応じて必要な対応を整理することも欠かせません。決定した条件は募集要項などの文書にまとめ、担当者によって説明が変わらない状態にした上で従業員へ案内します。

従業員へ制度内容を説明して応募を受け付ける

対象となる従業員が自ら判断できるよう、制度の目的や応募条件、退職日、優遇措置、申請方法などを説明します。説明会を実施する場合でも、口頭説明だけでなく募集要項などの文書を交付し、後から条件を確認できるようにしておくとよいでしょう。

応募の際には後々の従業員とのトラブルを防ぐためにも、個別面談を行うとよいでしょう。その際には、担当者による発言にも注意が必要です。担当者が従業員に繰り返し応募を迫るなど、自由な意思決定を妨げる対応は避けます。また、質問への回答内容を社内で統一するため、想定問答を整理し、相談窓口や受付方法を決めておくことも有効です。

関連記事:労働条件の変更や制度運用によるトラブルを防ぐには、従業員への説明や同意の進め方も重要です。「就業規則の不利益変更とは?条件やトラブルにならない進め方を解説」も参考になります。

応募者を確認して退職手続きを進める

応募期間の終了後は、申請内容が対象条件を満たしているかを確認し、承認プロセスを設けている場合は所定の手順に沿って判断します。その後、退職日や退職金などの条件を本人と確認し、必要な退職手続きへ進みます。

応募者の退職にあたっては、業務の引き継ぎに加え、雇用保険や社会保険に関する資格喪失手続きなど、退職に伴う各種手続きも発生します。企業から従業員へ交付する書類についても、退職日から逆算して準備するとスムーズです。特に複数の従業員が同時期に退職する場合は、対象者ごとの手続き状況を一覧化し、提出漏れや処理の遅れを防ぐ管理体制を整えておくとよいでしょう。

早期退職でトラブルを防ぐための労務管理上の注意点

早期退職制度では、募集条件そのものだけでなく、従業員への働きかけや対象者の取り扱い、退職理由の整理など、運用面にも注意が必要です。制度上は本人の応募を前提としていても、実際の説明や面談の方法によっては労使トラブルにつながる可能性があります。企業は募集開始前に対応方法を統一し、応募から退職までの経緯を適切に記録できる体制を整えておく必要があります。

応募を強要せず従業員本人の意思を尊重する

早期退職制度への応募は、従業員が提示された条件を確認したうえで判断できるようにすることが基本です。募集数に届かない場合でも、特定の従業員に繰り返し応募を求めたり、応募しなければ不利益が生じると受け取られる説明をしたりすることは避ける必要があります。

個別面談は、制度の説明とその理解を促すこと、退職の意思確認や合意が目的です。面談の目的や説明事項を事前に整理し、担当者によって対応に差が出ないようにすることも有効です。また、いつ、誰が、どのような説明をしたのかを記録しておけば、後から従業員との認識に相違が生じた場合にも経緯を確認しやすくなります。

対象者の選定基準と適用条件を明確にする

早期退職の対象範囲を設定する場合は、年齢や勤続年数、所属など、制度の目的に沿った基準をあらかじめ具体化します。応募者ごとに異なる基準を後から適用すると、「なぜ自分は対象外なのか」といった疑問が生じ、制度への納得感を損なう原因になります。

特に企業による承認を退職条件としている場合は、そのことを募集時点で明示することが重要です。承認の基準を設けるときは、その必要性や運用方法についても事前に検討します。募集要項と社内の判断基準に食い違いがないか確認し、一貫した取り扱いができる状態を整えておきましょう。

退職理由や雇用保険の取り扱いを確認する

早期退職制度は、その名称だけで離職理由を決めるのではなく、募集に至った事情や退職の経緯などを踏まえて取り扱いを確認する必要があります。離職理由は、雇用保険における基本手当の給付制限や所定給付日数などに関係する場合があるためです。

参考:離職理由の判断基準については、厚生労働省「特定受給資格者となる離職理由の判定基準」も確認してください。

企業が離職証明書を作成する際は、実際の退職経緯と記載内容に相違がないよう確認します。また、従業員から「会社都合になるのか」と質問された際に、制度名だけで一律に回答するのは避けたほうがよいでしょう。個別の事情によって判断が異なる可能性があるため、必要に応じて管轄のハローワークへ確認しながら手続きを進めます。

退職後を見据えて業務の引き継ぎを進める

複数の従業員が同時期に退職すると、通常の退職の場合よりも短期間に引き継ぎ業務が集中する可能性があります。特に、担当者しか把握していない業務や取引先との調整事項がある場合は、退職日直前に引き継ぎを始めても十分な対応ができないことがあります。

応募者が確定した段階で、担当業務、進行中の案件、社内外の連絡先、使用するシステムなどを洗い出し、後任者と引き継ぎ期限を決めておくと管理しやすくなります。さらに、退職者が集中する部署では、業務の廃止・統合も含めて検討します。単に仕事を残った従業員へ振り分けるのではなく、退職後も継続できる業務体制を設計することがポイントです。

早期退職制度について社労士へ相談する判断基準

早期退職制度の導入にあたっては、対象者や退職条件を決めるだけでなく、就業規則・退職金規程との整合性や従業員への説明、退職に伴う社会保険・雇用保険の手続きなど、人事労務に関する幅広い業務を進める必要があります。自社で対応できる範囲を整理したうえで、制度設計や個別対応など専門家の判断が必要な部分は、社会保険労務士などへの相談を検討すると、実務を進めやすくなります。

自社で整理できる事項と専門家に確認したい事項を分ける

まず各企業において、早期退職制度を導入する目的、対象とする従業員の範囲、募集時期、退職予定日、想定人数など、経営・人事上の方針を整理します。現在の人員構成や退職後の配置、引き継ぎ計画についても、自社の事業計画を踏まえて検討できます。

一方、既存の就業規則や退職金規程との整合性、社会保険・雇用保険の手続きなど、法令等に基づく専門的な確認が必要になる事項もあります。社内で方針を固める部分と専門家に確認する部分を切り分け、疑問点を一覧化してから相談すると、制度導入に必要な検討事項を整理しやすくなります。

制度設計や就業規則の整備が必要な場合は相談を検討する

新たに早期退職制度を導入する場合、対象年齢や勤続年数、申請期間、退職日、優遇措置など複数の条件を設定することになります。既存の就業規則や退職金規程に関連する定めがある企業では、新制度との間に矛盾が生じないか確認することも必要です。

関連記事:就業規則の記載事項や変更時の注意点については、「就業規則の絶対的記載事項とは?作成する際の注意点も解説」もあわせて確認するとよいでしょう。

特に、恒常的な制度として運用するのか、一時的な募集として実施するのかによって、準備すべき内容は異なります。自社だけでは規程への反映方法や労務管理上の取り扱いを判断しにくい場合は、社労士への相談を検討できます。募集を開始してから条件を修正する事態を避けるためにも、実施前の段階で制度と社内規程を確認しておくことが有効です。

従業員への説明や個別対応に不安がある場合は相談する

早期退職制度は、制度自体が整っていても、説明会や個別面談での従業員への伝え方によっては認識にずれが生じることがあります。特に、対象者への個別説明を予定している場合や、応募を迷っている従業員への対応方法に不安がある場合は、事前に面談の進め方を整理しておく必要があります。

参考:一定規模の離職者が発生する場合の企業側の手続きについては、厚生労働省「再就職援助計画」の案内も確認してください。

社労士には、早期退職の募集要項や従業員説明資料などの内容確認、想定問答の整理などを相談できます。また、複数の従業員の同時退職に伴って社会保険・雇用保険の手続きが集中する場合も、必要な手続きやスケジュールを確認しておくと担当者の負担軽減につながります。制度設計から退職手続きまで一貫して確認したい場合は、早い段階で相談を検討するとよいでしょう。

早期退職について社労士に相談する

社労士を探す際には、全国7,000以上の事務所(全国の依頼可能な社労士の23%)の社労士が登録する、中小企業福祉事業団の社労士ナビをご活用ください。この企業と社労士をつなぐ日本最大級のポータルサイトでは、地域や得意分野などを指定して社労士を探せるので、自社のニーズに合った社労士が簡単に見つかります。初回相談が無料の社労士も多いため、事務所のスタンスや人柄をしっかり見極めた上で依頼しましょう。

執筆者

中小企業福祉事業団 編集部

 
日本最大級の民間社労士団体として、社労士を介して中小企業を支援する活動を行っています。本サイト「社労士ナビ」は、課題を抱える中小企業が、課題を解決できる社労士を探して、巡り合えるように構築しました。「社労士ナビ」が中小企業の人事・労務課題を解決する一助になれば幸いです。

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